インテル、遅れてる…。

いまやプロセッサ業界は、続々と新たな7nm製造プロセスのチップが登場し、その高性能ぶりも話題となっています。ところが、プロセッサ製造メーカーの巨人、Intel(インテル)の動向が芳しくありません。このほどインテルは、2020年度第2四半期の決算発表を行ないましたが、その席で、再び7nmプロセスのチップ供給を半年遅らせざるを得なくなったと公表。すでに7nmの歩留まりの遅れは1年におよんでおり、このスケジュールで進むならば、当初は来年中に7nmチップの供給開始となるはずが、早くても2022年になってしまうことが明かされました。

2022年といえば、もしライバルのAMDがロードマップのとおりに進んでいくと、5nm製造プロセスにて、新たな「Zen 4」アーキテクチャでRyzen 6000シリーズのチップをリリースしているはずです。そこでようやく、インテルは7nmプロセスの新チップを出せるかどうかというタイミングって、本当に大丈夫なんでしょうか?

■そもそも10nmでもつまずいた

ここまで遅れに遅れる7nmプロセスですけど、実はその前の10nm製造プロセスにおいても、インテルは歩留まりの問題に悩まされてきました。2015年に新しい10nmチップを発表していたインテルですが、その年の半ばに歩留まりの問題を認め、10nm製造プロセスのCannon Lakeチップは、大幅に遅れてしまいます。2019年のホリデーシーズンに合わせ、数多くの10nmチップが出そろうとアナウンスされていた時期もありましたが、いまだモバイルおよびデスクトッププロセッサの主力は、さらに前の14nm製造プロセスのまま。どこまで待たされるのでしょうか

とはいえ、今回の決算発表会では、7nm製造プロセスの遅れを明らかにすると同時に、代わりに10nmチップのラインナップを一気に拡充すると明言。Tiger Lakeチップに続き、初の10nmのサーバCPUとなるIce Lakeチップが供給されていくほか、新たなデスクトップ向けAlder Lakeチップやサーバ向けSapphire Rapidsチップも、製造がスタートする見込みと発表しました。現時点での10nmチップの完成度は、14nmチップより若干のパフォーマンスアップという程度です。ただし、10nmチップのノードは、まだまだ改善が必要で、その完成は7nmチップの登場を待たねばならないようでもありますが…。

■最悪なら5年遅れ?

もしインテルが、10nm製造プロセスへの移行にトラブったように、同じく7nm製造プロセスでもつまずくならば、実際に7nmチップをインテルから購入できるのは、2025年になるだろうという、まさに最悪の事態を予測する声もあるようです。これはあくまでもすべてがうまくいかなかったケースで、実際はここまでずれ込むことはないでしょう。いまや、年内にも「Zen 3」アーキテクチャの新チップを出そうという勢いでAMDが猛追してきている現状において、ここまで遅れを取ってしまえば、とんでもないことになってしまいます。しかしながら、Apple(アップル)がインテルと訣別し、独自のARMプロセッサを製造してMacを仕上げていく計画には、こうしたインテルの遅れが背景にあったのかもしれませんね。

7/28(火) 11:30配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200728-00000003-giz-sci
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