米インディアナ大学医学部とCOVID-19のパンデミックの収束を目指す団体「サバイバー・コー(Survivor Corps)」は先ごろ、
感染の後遺症について共同で実施した調査の結果をまとめた報告書を公開した。

査読済みの論文ではないものの、COVID-19が体の複数のシステムに多大な影響を及ぼしていることが説明されており、
その内容には驚かされる。肺に症状が出ることは、すでにある程度認識されているが、「脳、全身、目、皮膚にも症状が出る」ケースが多いことが示されている。

調査結果のなかで特にショックを受ける人が多いと考えられるのは、423人が感染後の症状として「脱毛」を挙げていることだ。
これは比較的最近になって明らかになった症状のひとつであり、医学界も注目し始めているものだ。


原因は「トラウマ」か


米オハイオ州のクリーブランド・クリニックもまた、サバイバー・コーと同様の結果を示す報告書を発表している。
皮膚科が専門のシルピー・ケターパル医師は、感染者にみられる脱毛は「休止期脱毛症」と呼ばれるものであるとの見方を示し、次のように述べている。

「2〜3カ月前に感染した人たちの間に、脱毛がみられます。症状が現れるタイミングが非常に重要です」

こうした脱毛は、「どちらかといえば一般的なもので、“体のシステムに対するショックが引き起こした過度の脱毛による一時的な”皮膚病変」だとされている。
手術や身体的・精神的な重症の外傷(トラウマ)、感染、高熱、急激な体重の減少や食生活の変化など、さまざまな状況が原因になり得る。

カナダのニュースサイト「グローバル・ニュース」によると、カナディアン・ヘア・ロス・ファンデーションの理事長、ジェフ・ドノバン医師もまた、
COVID-19の患者に脱毛の症状がみられることを指摘している。

同医師によれば、朗報といえるのは、「感染後の脱毛は一時的な症状だとみられること」だ。
大抵の場合において予後は良好であり、特別な治療は必要がなく、「基本的には、自然に回復するもの」だという。

ケターパル医師も、この症状についてはドノバン医師とおおむね同意見であり、次のように述べている。

「多くの患者、特に女性の場合、はげてしまうことを恐れます。ですが、この場合の脱毛は回復します。ただ、もとの状態に戻るには、時間がかかります」

脱毛がCOVID-19に関する新たな発見のひとつであるように、この感染症が長期的に私たちにどのような影響を及ぼすのかについて、
明らかになるのはまだ先のことになるだろう。

専門家たちの大半は、新たな症状が出たり、健康状態が変化したり、医学的な問題が発生したと思われる場合には、
まずは専門家の診察を受けることを勧めている。
https://forbesjapan.com/articles/detail/36537/1/1/1