こうした噂は自然発生的なものではなかった。
戦後NHK会長にもなった野村秀雄は当時朝日新聞の政治部記者だったが、社会部の記者が、「各所を鮮人が襲撃しているから、朝日新聞で触れ回ってくれと警視庁が言っている」と駆け込んできたと振り返っている。

評論家の中島健蔵は、警察署の板塀に「不逞朝鮮人が反乱を起こそうとしているから警戒せよ」という張り紙が出ていたことを記憶している。