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新生立憲、高揚感なき船出 顔触れ変わらず不満続々

新生立憲民主党が結党大会を開き、2017年秋に分裂した旧民進党以来の規模となる150人の野党第1党が発足した。枝野幸男代表は早期の衆院解散観測を踏まえて政権奪取へ決意を表明したが、会場の雰囲気は低調。新味のない幹部人事に募る不満は隠しようもなく、高揚感に乏しい船出となった。

「衆参で150人、特に衆院で政権交代の発射台と言われる100人を超えるメンバーが集まった」。15日、東京都内のホテルで開かれた大会で枝野氏はこう強調。「今こそ国民に選択肢を示す時だ」と訴えた。演説中、感極まったのか声を詰まらせる場面もあった。

 「衆院議員を100人そろえれば、次の総選挙で政権をうかがえる」というのは近年の実例に基づく枝野氏の持論。旧民主党が政権の座に就いた09年衆院選直前の勢力は115人、自民党が12年に政権を奪い返した際は118人だった。衆院107人の新立憲は数字の上でこの基準を満たす。
 だが、枝野氏の様子と対照的に拍手はまばら。粛々と議事をこなした感は否めない。ある中堅は「会場の意識は散漫。拍手しなければいけないからしたという感じ」と冷めた顔で認めた。

 要因の一つが抜てきのなかった人事であることは間違いない。枝野氏が発表した新役員19人は全員、民主党か民進党に所属していた面々。このうち14人は56歳の枝野氏より年上か同い年で、40代は代表選に挑戦した泉健太政調会長だけだ。党の顔となる中核ポストへの女性起用もなく、若手の一人は「これでは熱気が出ない」と漏らした。

 党内には合流に伴う人事で、議論の少ない党風が変わることへの期待も強かった。だが、幹事長は旧立憲の党務を取り仕切った福山哲郎氏が「続投」。関係者は「政党支持率を上げるチャンスなのに浮揚効果はない」と不満をぶちまけた。

 「大きな固まり」を掲げながら、旧国民民主所属議員が合流組と新国民民主、無所属に3分裂したのも盛り上がりを欠く原因だ。「合流に至らなかった皆さんとの連携強化が野党第1党の重責だ」。傘下労組の出身議員の所属先が割れる苦しい状態が続くことになった連合の神津里季生会長は、来賓として出席した新立憲の大会でこうくぎを刺した。

2020年09月16日07時10分 時事