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そして制服の右腕に赤十字の腕章を付けさせました。
どこからどうみても「赤十字の看護婦」であることがひとめでわかるようにしたのです。

やがて一か月が経過しようとしたとき、同じ病院から、また3名の追加の命令書がきました。
日本側は、
 荒川静子、三戸はるみ、沢田八重
の3名を、第二回の後続としてソ連陸軍病院第二赤軍救護所に送りました。

もうまもなく最初の三名が交代して帰ってくる。誰もがそう思っていました。
ところが最初の3人は帰ってきません。やがてさらに一か月が経過しました。

するとまた3名の追加の命令が、ソ連陸軍病院第二赤軍救護所からもたらされました。

一か月という約束で看護婦を送っているのです。
最初の3名が行ってから、もう3か月経過しています。
2回目の看護婦が行ってからも2か月です。にも関わらず、誰も帰してもらっていない。
おかしいのではありませんか?向こうが約束を反故にしているのです。
普通ならそんな約束も守れないようなところに、大切な部下を送ることなんてできないことです。
しかも6名とも、行ったきり音信不通です。

けれど相手はソ連軍です。
命令に背けば、医師や看護婦だけでなく、患者たちまで全員が殺されてしまう危険があります。
病院としては、命令に背くことはできない。