流山市のマンションで1997年、会社員の田島由美さん=当時(24)=が殺害された事件で、強盗殺人などの罪で懲役15年の判決を受けた無職の男(41)=事件当時少年=が出所後、千葉市中央区の店舗で金品を盗もうとした窃盗未遂などの事件を起こし逮捕、起訴されていたことが16日、捜査関係者への取材で分かった。千葉地裁で同日、初公判が開かれ、男は起訴内容を一部否認した。

 検察側の冒頭陳述などによると、男は今年3月に刑期を終え出所した。7月1日朝、同区のJR千葉駅近くのビルで、店舗出入り口ドアのガラスを消火器で割り、施錠を外して侵入。金品を盗もうと物色したとして、建造物損壊と建造物侵入、窃盗未遂の罪に問われている。

 男は罪状認否で「泥酔していて自分でも理解できないことをした」と述べ、弁護側は建造物損壊と窃盗未遂の罪について泥酔状態だったため故意はなかったと主張。一方、検察側は男が当時無職で「手っ取り早く遊ぶ金を手に入れたいと考え、犯行に及んだ」と指摘した。

 田島さんが殺害された事件では祖母と姉夫婦が殺人容疑で誤認逮捕され、再捜査の結果、2012年1月に当時17歳だった男が逮捕されている。地裁で同年11月に開かれた裁判員裁判は、逮捕時に容疑を認めていた男が「殺害していない」とそれまでの主張を覆した。

 地裁は男の供述が不自然で信用できないと退け「強固な殺意に基づく残忍な犯行」と非難。「金に執着して窃盗を繰り返す根深い傾向が認められる」とも言及し、事件当時の少年法の有期刑の上限となる懲役15年の判決を言い渡した。その後、最高裁まで争われていた。

◆流山市の女性強殺事件

1997年5月19日、流山市鰭ケ崎のマンションで、会社員の田島由美さん=当時(24)=が刃物で刺され死亡しているのが見つかった。県警は殺人容疑で祖母と姉夫婦を逮捕したが、3人は証拠不十分で不起訴処分に。凶悪事件の公訴時効廃止に伴い、県警は未解決事件の専従捜査班を設けて再捜査し、別の事件で服役中の男が容疑者として浮上した。

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