失業、逃亡、集団感染……コロナ・パニックで困窮する北関東の外国人労働者
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失踪と不法滞在化
2020年4月14日午後3時半ごろ、群馬県佐波郡玉村町で、20代のベトナム人男性HとDが自動車を路肩の境界ブロックに乗り上げさせる自損事故を起こした。

不法滞在者がコロナ感染

彼らは現場から走って逃げ出し、追う警官たちを振り切るべく、すぐ近くを通る旧街道との十字路にいきなり飛び出した。

結果、Hが通行中の乗用車と接触して負傷、そのまま警官に身柄を確保され、病院へ搬送される。いっぽう、Dは現場から逃走した。しかも、話はこれだけで終わらなかった。所轄の伊勢崎署の関係者は話す。

「轢かれた男は、搬送先の病院でのCT検査でも骨折は見つからなかった。しかし、思いがけず肺炎症状が確認された。急遽PCR検査をおこなったところ、新型コロナウイルス感染症の陽性反応が確認された」

結果、事故の捜査や救護にあたった署員6人が翌日からの自宅待機を余儀なくされ、伊勢崎署はちょっとしたパニックに見舞われた。

ちなみに、事件は複数の新聞で報じられたが、報道ではHらを「外国人」としか伝えず、ベトナム人不法滞在者とコロナの関係は市民に知らされていない。

その理由は、伊勢崎署が記者発表で容疑者の国籍を伏せ、さらに初動段階では彼らが不法滞在者であることすら公開しなかったためだ。これが妥当な判断かは首をかしげたくもなるが、伊勢崎署関係者は理由をこう説明している。

「近年、ベトナム人が一気に増加し、地元住民からは複雑な感情を示す声が出ていたところ。コロナ感染者の国籍やビザ状況を不用意に公表することで、外国人全体への偏見が強まる可能性を懸念した」