インドネシアの新型コロナウイルスによる死者が9月24日1万人を超えた。

東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国で最悪の数字を更新し続ける事態に、
ジョコ・ウィドド政権もあの手この手の感染拡大防止策を打ち出すものの、効果は弱く、
感染者数も増加の一途をたどっており、「打つ手なし」というのが現状だ。

医師や看護師などの医療関係者の感染死も域内トップという状況に加えて感染者を収容する病床も間もなく不足するのは必至という状況で
「医療崩壊」が現実の問題として迫っている。

首都ジャカルタの玄関口であるジャカルタ国際空港では、搭乗者のコロナ検査にあたる製薬会社関係者が被験者へのセクハラ容疑で逮捕されたり、
保健衛生ルールの違反者の摘発が相次いだり、日系を含めた工場でのクラスター(集団感染)が次々と発覚し、一時操業停止処分を受けるなど、
感染拡大に伴うモラルや規律遵守意識の低下も伝えられるなど、インドネシアはますますコロナ禍で迷走の度を深めている。

インドネシア保健当局は毎日夕方、オンライン会見で全34州の全国集計と各州の過去24時間の感染者数、死者数を公表している。

9月24日の発表では感染者数は26万2022人となり、ASEANではフィリピンの29万6755人に次いで2位となっている。
死者数は1万105人とついに1万人を超え、域内2番目となるフィリピンの5127人を大きく上回っている。

感染者および死者は2カ月前の7月24日には95418人、4665人だったが、1か月後の8月24日には155412人(約6万人増)、
6759人(約2000人増)だった。しかし8月24日からの1カ月で、感染者で約10万6000人、死者で約3300人と爆発的な感染増加が続いている。

こうした状況にも関わらずジャカルタ州政府は6月4日に緩和した「大規模社会制限(PSBB)」を元の厳しい制限に戻すことを躊躇し、
ようやく9月14日に厳しい制限の再適用を期限2週間で発表、実施した。

それにも関わらず14日以降24日までの10日間で感染者は約35000人、死者は約1100人と増加し、歯止めはかかっていない。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/09/post-94526_1.php