「国語が乱れている」と感じる人が10年前と比べて減り、「乱れていない」と感じる人は増えている――。文化庁が25日に発表した2019年度の「国語に関する世論調査」で、日本人の国語の乱れに対する意識の変化が明らかになった。専門家はSNSなどの普及で文章を発信する機会が増え、本来の用法とは異なる言葉づかいでも寛容に受け止める傾向が強まったとの見方を示している。

 調査は今年2〜3月、16歳以上の男女1994人が答えた。「ふだんの生活の中で接している言葉から考えて、今の国語は乱れていると思いますか。それとも、乱れていないと思いますか」との質問に、「非常に乱れていると思う」と「ある程度乱れていると思う」を選んだ人は計66・1%。どのような点で乱れているのかを複数回答で聞くと、「敬語の使い方」と「若者言葉」がそれぞれ6割を超え、「新語・流行語の多用」「挨拶(あいさつ)言葉」がそれぞれ3割を超えている。

 一方、「余り乱れていないと思う」と「全く乱れていないと思う」を選んだ人は計30・2%。その理由は39%が「言葉は時代によって変わるものだと思うから」、29・9%が「多少の乱れがあっても、根本的には変わっていないと思うから」を選んでいた。

 文化庁は1995年度から毎年、国語に関する世論調査を実施。この質問は99年度調査から5度聞いており、「乱れている」は99年度から約20ポイント減り、「乱れていない」も約20ポイント増えた。同庁国語課は「スマートフォンやSNSの普及で市民がくだけた表現で文章を発信し、多様な表現に触れやすくなった。辞書などで本来の使い方とされる言葉と違うと思っても乱れとはとらえず、寛容に受け止める人が増えつつあるのでは」とみる。

 コラムニストの小田嶋隆さんは…(以下有料版で,残り319文字)

朝日新聞 2020年9月25日 17時00分
https://www.asahi.com/articles/ASN9T5GYFN9KUCVL00S.html?iref=comtop_8_04