安倍政権の医療政策「評価しない」44.6%、若手は高評価 ◆Vol.1
評価する政策は「規制改革・オンライン診療」「全世代型社会保障」「働き方改革」
2020年9月12日 小川洋輔(m3.com編集部)


 長らく「一強」と呼ばれ、憲政史上最長となる7年8カ月にわたって
続いていた安倍政権(第2次内閣以降)は、首相の持病の再発によって
突然幕を下ろすこととなった。今回の辞任表明を受け、m3.com編集部
が医師会員に安倍政権の医療・社会保障政策に対する評価を調査した
ところ、全体については「全く評価しない」「あまり評価しない」が
計44.6%、「高く評価する」「ある程度評価する」が計28.3%と、
厳しい評価の方がやや多かった。開業医や60歳以上では「評価しない」
が半数を超える一方、若い世代ほど評価が高くなる傾向があった。

 個別の政策では、「規制改革・オンライン診療」「全世代型社会保障」
「働き方改革」が比較的高く評価される一方、

「新専門医制度」「医学部新設」「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
対応」への評価が低かった。

特徴的なのは世代別の評価で、年齢が若いほど評価が上がる傾向が浮き彫りとなった。

 39歳以下では、「高く評価する」「ある程度評価する」が計36.2%、
「全く評価しない」「あまり評価しない」が計33.5%と、世代別で唯一、
肯定的な評価が上回った。

 否定的な評価は年齢が上がるほど、割合が増え、70歳以上では計59.7%に達した。

 安倍政権は規制改革や働き方改革、現役世代の負担軽減を図る全世代
型社会保障の検討を進めており、若い世代からは一定の支持を得ていた
とみられる。一方、開業医や高年齢層では、特例的なオンラインによる
初診の解禁や高齢者の窓口負担の増加を懸念する声が根強いようだ。

 最も評価が低かったのは、スタートが1年ずれ込むなど混乱が目立った
「新専門医制度の開始」。国際医療福祉大と東北医科薬科大の「医学部新設」
も低い評価だった。

勤務形態で分析すると、全項目で勤務医より開業医の方が厳しい評価を下していた。

 「規制改革・オンライン診療」「働き方改革・時間外勤務上限規制」は
開業医と勤務医で意見がはっきりと割れ、合計では賛否が拮抗する結果となった。
https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/821697/