(2020.11.19 08:40)

「戻ってくることはないとあきらめていた」と話す岡添任秋さんとマル(土佐市北地) 
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 高知県土佐市で行方不明になった雄猫が今年5月、7年半ぶりに“帰宅”した。約3キロ離れた路上で軽トラックの荷台から飛び降り、居場所が分からなくなっていたもので、飼い主は「本当に奇跡的。ようもんてきた」とホッとしている。

 飼い主の岡添任秋(たかあき)さん(79)によると2012年秋、土佐市北地の倉庫で飼っていた猫が白い雄を出産。「顔が丸いき」と「マル」と名付け、親子計4匹をかわいがっていたところ、マル以外の3匹は相次いで死んだり出て行ったりし、マル1匹が残された。

 2012年12月上旬、岡添さんは軽トラで買い物に出掛けた。倉庫から東へ3キロほど離れた土佐市蓮池の土佐市消防署前交差点で、対向車がごう音を上げてすれ違うと、荷台に潜んでいたマルが突如「ひせくるような鳴き声を上げて」(岡添さん)道路に飛び出した。

 「乗っちゅうことすら知らんかったき、こっちも驚いた」と岡添さん。慌てて車を止めて1時間余り、翌日も2時間ほど付近を捜したものの、マルの姿はなく「ショックやけど諦めていた」という。

 そして今年5月。倉庫に止めた乗用車内でうとうとしていた岡添さんがふと目を開けると、マルによく似た白猫がボンネットの上に。その時はすぐに逃げられたが、2日後に再び倉庫に現れた白猫を見ると、顔や背中、しっぽなどの黒い丸模様の位置がマルと一致していたという。

 「おらんなった時は子猫で、場所も離れちょったき、まさか戻ってくるとは」と笑う岡添さん。失踪中に飼い始めた雌猫「サクラ」を最初は怖がっていたものの、今は仲良く過ごしているそうだ。

 「ぎっちり足や胸元に寄ってくる性格は同じ。やっぱりかわいいですね」と目を細める岡添さん。離れていた時間を取り戻すように、愛猫との触れ合いを楽しんでいる。(土佐支局・山崎友裕)

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