RCEP締結に習近平「高笑い」──トランプ政権の遺産
Newsweek 遠藤誉 2020年11月20日(金)17時35分
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/11/rcep-2.php
長文なので抜粋です。リンク先記事を読んでください。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/assets_c/2020/11/RCEP201120-thumb-720xauto-224492.jpg
RCEP首脳会合で15カ国が協定に署名(11月15日、ベトナムのハノイ)

RCEPの締結は中国のコロナ禍早期脱出とトランプ政権の一国主義のお陰だと、中国は大喜びだ。
日中韓FTAまで内包してしまい、インドの不参加、台湾経済の孤立化も中国には有利だ。
インドやロシアとはBRICSで結ばれている。
(略)
日本は、あたかも日本の努力によってRCEP締結に漕ぎつけたかのように解説する傾向にあるが、
中国は全くそうは思っていない。なぜなら日本を引き寄せるのは、
中国にとって大きな利益をもたらすからだ。
そのため日本が「日本の努力によって」と言ったとしても、それは「言わせておこう」という姿勢で、
結果として日本が加盟してくれさえすれば、中国としては大いに満足なのである。

■アメリカに当てつけた日本への執着
(略)
そこで日本がいてくれさえすれば、
「アメリカの向こうを張って」かつ「中国がGDP規模ではトップ」という状態で
RCEPを運営していくことが出来ると中国は計算しているわけだ。
中国大陸のネットでは「中国を中心とした大東亜共栄圏」という言葉までが
チラホラ出て来るような雰囲気なのである。
(略)

■事実上の日中韓FTA――「アジア元」への一歩
(略)
それも知らずに中国の罠に嵌っていったら、とんでもないことになる。
アメリカのドル基軸の世界を「いつかは」ひっくり返そうと、中国は虎視眈々と「遠景」を見ているのだ。
(略)

■RCEPに参加しなかったインドは
中国にとってインドがRCEPに参加しなかったことは非常に歓迎すべきことなのである。
なぜなら人口においても市場やGDP規模のポテンシャルにおいても、
インドさえいなければ中国が文句なしにトップでいられるからだ。
(略)

■台湾統一に有利に働く台湾経済へのダメージ
(略)
RCEPはある意味、台湾に対する経済封鎖につながる。
RCEPに加盟したいなら、台湾も香港・マカオ同様に「一国二制度」を採用せよという要求を
北京政府は台湾に突き付けるだろう。そのことに関する論争が台湾内部でも巻き起こっている。
(略)
バイデン政権が誕生した時に、TPPかRCEPか、
どちらかを選ばなければならない事態に追い込まれるかもしれない。
(菅総理が)「自由で開かれたインド太平洋構想」を
「平和で繁栄したインド太平洋」などと言い換えている場合ではないだろう。
中国は台湾統一を目指して第一列島線を確保すべく、
日本の領土である尖閣諸島への挑戦を繰り返している。
「甚だ遺憾だ」などと言葉だけで言っていても、中国にとっては痛くも痒くもない。
習近平に「高笑い」を許しておくわけにはいかないのである。

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世界最大規模の自由貿易圏誕生
ロイターFISCO2020年11月16日
https://jp.reuters.com/article/idJP00090300_20201116_00120201116

 報道によると、日本、中国、韓国、豪、NZ、東南アジア諸国連合(ASEAN)
加盟国の15カ国は11月15日、
東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定に署名した。
経済規模的に世界最大の自由貿易圏となる。インドは含まれていないが、
関係者によると加盟の可能性は残されている。
報道によると、RCEPの枠組みでは、中国、韓国は大半(90%程度)の工業品で
日本から輸出する際の関税を段階的に撤廃する。
農産品重要5項目は関税削減の対象から除外されている。

 市場関係者の間では
「日本からの自動車部品などの輸出拡大が期待できる」との声が聞かれている。
中国への輸出については、
3%程度の関税が賦課されているガソリン車用のエンジン部品の一部などについて
発効時に関税が撤廃されるもようだ。
RCEP協定の締結は地域の貿易・投資の促進、サプライチェーンの効率化に
寄与するとみられているが、
中長期的な観点でアジア諸国の金融・経済にどのような影響を及ぼすのか、
注目したい。