厚生労働省は、75歳以上の医療費を現役世代の保険料から負担する「後期高齢者支援金」について、現状のまま推移すると2025年度に今より1・4兆円増えて8・2兆円になるとの試算をまとめた。支援金が増えると保険料の上昇につながるが、75歳以上の窓口負担を1割から2割に引き上げると支援金負担は軽減される。こうした試算を示すことで、高齢者の負担増に理解を得たい考えだ。

 26日の社会保障審議会医療保険部会に提示する。高齢者の医療費(窓口負担分を除く)は5割が公費、1割が高齢者の保険料、残り4割を健康保険組合や協会けんぽが拠出する後期高齢者支援金で賄う。負担金の原資は保険料で、医療費が増えると支援金も自動的に上がる仕組みだ。

 厚労省によると、20年度の支援金総額は6・8兆円(現役世代1人あたり年6万3100円)。今のままでは団塊の世代が75歳以上になる25年度に総額8・2兆円(同7万9700円)にまで増える。支援金の額が増えると、現役世代が支払う保険料も増額を求められる。

 政府は現役世代の負担を緩和するため、一定所得以上がある75歳以上の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げる予定だ。対象範囲の線引きについて、所得上位20〜44%の5案で検討しており、12月に決める。

 この窓口負担の引き上げで25年度の支援金がどの程度軽減されるかを同省が試算。所得上位20%=600億円(現役世代1人あたり600円減)▽25%=840億円(同800円)▽30%=1100億円(同1100円)▽38%=1540億円(同1500円)▽44%=1800億円(同1800円)――となった。

 引き上げ対象を巡ってはなるべく多く2割に含めるよう求める経済界や健康保険組合と、対象者の限定を要求する日本医師会との間で意見が対立している。

 厚労省は26日の医療保険部会に、けがや病気の治療で仕事ができなくなった時に公的医療保険から支払われる傷病手当金の見直し案を提示する。現在は支給開始から最大1年6カ月支払われるが、途中で出勤して給与があった期間は支給されない。がんなどで長期にわたり入退院と就労を繰り返す人もいるため、支給期間が通算で1年6カ月に達するまで受け取ることができるように改める。

 また、育休中に公的医療保険の保険料を免除する制度について、短期間(2週間以上)の育休にも適用するよう提案する。男性の育休取得を促すのが狙い。【原田啓之】

[毎日新聞 2020年11月26日 02時00分(最終更新 11月26日 02時00分)
https://mainichi.jp/articles/20201125/k00/00m/040/473000c
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