2020年11月26日 10時08分

飲食店で注文したものと全然違う食べ物が出てきたら、食べるかどうかはともかく「注文したものと違う」と言うだろう。しかし、店員から「いいえ、確かに注文されたとおりの品です」と返されることもあるようだ。

都内の企業に勤めるカズキさん(20代)は、友人の結婚式に出席するため、前日の昼から大阪に来ていた。昼食は手早く済まそうと駅近くのそば屋に入り、「たぬきそば」を注文した。

ところが、そばに入っていた具材は「油揚げ」。カズキさんは、店側が「きつねそば」と勘違いしたのかと思い、「自分が注文したのは『たぬきそば』です」と伝えたところ、店員に「これが『たぬきそば』ですけど…」と言われたという。


●「たぬき」に化かされた?

どういうことなのかあらためて店側に尋ねたら、「大阪で『たぬき』といえば、甘い油揚げがのったものです」と説明された。

東京で生まれ育ったカズキさんは「たぬき=天かす(揚げ玉)」「きつね=油揚げ」と思っていたので、「たぬき」の意味するものが違うことに驚くとともに、なぜこうなったのか合点がいった。

油揚げが好きではないカズキさんは「キャンセルして、天かすがのったそばを出してもらえますか」とお願いした。しかし、店員に「『たぬき』を注文されて『たぬき』を出したので、キャンセルはできません」と言われてしまった。

その場はあきらめ、そばだけを食べて店を出たカズキさん。「自分が悪かったのだろうか」とキャンセルできなかったことにモヤモヤしているようだ。

食べ物の呼び名が異なったため、思っていた品と違う料理が出てきた場合はキャンセルできないのだろうか。大橋賢也弁護士に聞いた。


●大阪のそば屋に「天かすがのったたぬきそば」を求めるのは分が悪い

――「たぬきそば」をめぐり、思わぬできごとがあったようです。

実際の対応としては、大阪の文化を勉強することができたと考え、出されたものを食べるのが良いのではないでしょうか。

しかし、数百円の「たぬきそば」とは異なり、桁が異なる商取引で同じようなことが起きた場合、そんな簡単に済ませるわけにもいきません。

そこで、今回の「たぬきそば問題」を題材に、そば屋と客との間ではどのような契約が成立していたと考えられるのかという点から検討してみたいと思います。

契約は、一般的に、当事者の意思が合致した場合に成立します。

たとえば、そば屋が、「たぬきそば500円」という掲示をしていた場合(契約の申込み)、客が「たぬきそば一杯ください」と伝えると(契約の承諾)、当事者間では、500円のたぬきそば一杯の売買契約が成立します。

ところが、今回のケースでは、500円のたぬきそば一杯という表示内容に食い違いはなかったのですが、たぬきそばの内容につき、そば屋は「油揚げがのったもの」と考え、客は「天かすがのったもの」と考えているように、当事者の内心の意思が異なっています。

このような場合、当事者間では、そもそもたぬきそば一杯の売買契約が成立したと考えられるのでしょうか。

――それぞれ想定していた「たぬきそば」が違う以上、成立していないように思えます。

そうですね。当事者の内心の意思を基準に判断すると、今回のケースでは、当事者の意思が合致していたとはいえず、そもそも売買契約は成立していなかったということになります。

しかし、内心で思っていることは他人にはわかりません。当事者の内心の意思が合致していない場合は常に契約不成立となると、あまりに取引の安全を害することになってしまいます。

そこで、慣習や取引慣行を参考にして、当事者が目的物についてどのように理解するのが合理的かを判断していくべきだと考えます。

――今回のケースではどう判断されるのでしょうか。

今回は、大阪のそば屋が舞台ですから、慣習や取引慣行を参考にすると、「たぬきそばとは、油揚げがのったそば」と解釈するのが合理的であると考えます。したがって、今回の当事者間では、「油揚げがのったたぬきそば」の売買契約が成立しています。


●「錯誤」があった場合は取り消すことができることも
●「たぬきそば」から考える取引の安全
     ===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://www.bengo4.com/c_18/n_12049/

前スレ ★1 11/26(木) 20:09 [朝一から閉店までφ★]
https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1606388996/