日本のネット界隈では「マスゴミ」という言葉がすっかり定着している。

 安倍晋三首相がからむニュースや、メディアのあり方などについてのニュースがネットで報じられると、きまってコメント欄には「マスゴミ」という言葉が並ぶ。

 最近、読売新聞が加計学園の問題で驚くような記事を掲載して、いかにも「マスゴミ」らしい仕事をしたのは記憶に新しい。文部科学省の前事務次官、前川喜平氏が「出会い系バー」に通っていたという、あの記事である。

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 霞が関界隈の記者に話を聞くと、読売新聞記者でも直前までこの記事の掲載を知らなかった者が多かったようで、しかも地方版のすべてで記事が統一されていたことから、政権につながる「上層部」からの指示だったのだろうとのことだった。事実なら、読売が日本の「マスゴミ」全体のイメージに与えた悪影響は小さくない。

 公益財団法人の新聞通信調査会が行なった調査によると、2016年、新聞を全般的に見て満足であると答えているのは全体の51.8%。前年から2.1ポイント減少した。不信感がゆっくりと高まっている中、今年の調査がどうなるのか、見ものである。

 メディアの誤りや偏向などが議論され、メディアのイメージが悪くなりつつある背景には、間違いなくインターネットの存在がある。ネット上でメディアへの“批評”(単なる“言いがかり”も含め)が、いまだかつてない規模で行われるようになったからだ。読売新聞の記事も、ネットのない時代なら業界の話題として週刊誌ネタで終わっていたかもしれない。

 既存メディアに対するネットの影響力を考えると、ある疑問が湧いてくる。ネットは世界中で普及しているが、メディアの信頼性が落ちていると考えられるのは、日本だけなのか? 世界ではどうなのか? 

 先に答えを言ってしまうと、もちろん日本だけではない。実は海外でも、メディアの信頼性は落ちているのだ

https://www.itmedia.co.jp/business/spv/1707/20/news016.html