2020年はコロナ危機で大変な1年だった。足元では感染者数の増加が顕著だが、国民がコロナに慣れたこともあり、今年は感染が拡大しても昨年ほどの混乱は生じないだろう。だが経済的、社会的にはより大きな変化が起きる可能性が高い。今年の経済・社会を読み解くキーワードは「ポストコロナ」「バイデン政権」「脱炭素」の3つである。

昨年の秋以降、全世界的にコロナの感染が再拡大しているが、一方で株価は堅調に推移し、米株式市場のダウ平均株価は3万ドルの大台を突破した。製薬大手がワクチンを開発したことで、楽観ムードが出てきたことも影響しているが、感染が拡大しているにもかかわらず株価が上昇している最大の理由は、コロナ危機をきっかけとした産業構造の転換を市場が強く期待しているからである。

実際、株高を主導しているのはIT企業であり、デリバリーやテレワークなど経済活動の非接触化を市場が促していると解釈できる。株価が過度に上昇し、実体経済と乖離が生じているのは間違いないが、もし産業構造のシフトが進み、社会のほうが変われば、長期的には株価が正当化される可能性もあるだろう。

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