※時事通信

【ロンドン時事】ジョンソン英首相が10日、居住する首相官邸から約11キロ離れたロンドン東部の公園でサイクリングしていたことが発覚し、批判を浴びている。新型コロナウイルスの感染拡大でロンドンは都市封鎖(ロックダウン)の真っただ中。首相自身が「家にいて」と呼び掛けているだけに、国民も困惑気味だ。
 夕刊紙イブニング・スタンダードの報道で発覚した。同紙によると、10日午後2時ごろ、サイクリング中の首相が公園で目撃された。首相はその後、官邸に戻って会議に出席し、公園の混雑ぶりに懸念を示したという。
 英政府のルールでは、合理的理由のない外出は禁止されているが、1日1回の運動は例外として認められている。ただ、「地元の外に出てはならない」と定めている。
 首相は4日のテレビ演説で「家にいて、医療を守り、命を救ってください」と訴えたばかり。英中部ダービーシャーでは先週、自宅から約8キロ離れた場所を散歩した2人の女性が、地元警察からそれぞれ罰金200ポンド(約2万8000円)を科されていた。警察はその後「運動のために移動できる距離の明確な制限はない」として罰金を取り下げ、謝罪した。
 ハンコック保健相は「散歩や自転車で自宅から11キロ離れてしまってもよい。しかし、地元にいるべきだ」と首相を擁護。一方、野党・労働党のリン・ブラウン下院議員は英メディアで「首相は自らの助言に従うべきだ」と批判した。「地元」の範囲を明確にするよう求める声も強まっている。
 英国では昨年、首相側近のドミニク・カミングス上級顧問(当時、後に退任)が都市封鎖中に観光地を訪れ、批判を浴びた。日本でも、菅義偉首相が大人数での会食自粛を呼び掛けながら高級ステーキ店での「忘年会」に出席したことが問題となった。

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