【ワシントン=横堀裕也】米民主党のジョー・バイデン大統領(78)の新政権が始動した。バイデン氏は就任初日に新型コロナウイルス対策から気候変動対策まで多分野にわたる15本の大統領令に署名し、トランプ政権が残した混乱の収束を急ぐ姿勢を鮮明にした。「団結」の訴えに徹した就任演説は、米社会の分断に対する強い危機感と、新政権の苦悩を浮き彫りにした。

 バイデン氏は20日、ワシントンの連邦議会議事堂の特設会場で就任宣誓し、第46代大統領に就任した。

 就任演説でバイデン氏は、共和党を支持する保守派と民主党を支持するリベラル派が互いを敵視し合う現在の米社会の状況を「不作法な戦争」(Uncivil War)と呼んだ。

 共和党のドナルド・トランプ氏(74)と争った昨年の大統領選中、米社会の分断は南北戦争(Civil War)以来なかったほどに悪化したと指摘されてきた。そのことを意識した発言だ。

 保守派とリベラル派の対立は、産業構造の再編、人口構成の変動など複合的な要因によってここ数十年、強まる傾向をたどってきたが、トランプ政権下の4年間に際立って悪化した。

 今月6日には、バイデン氏の就任阻止を狙うトランプ支持者が議事堂を一時占拠する事件が起きたばかりだ。その影響で、政権交代初日の首都にはテロや衝突を警戒して警官隊や重武装の州兵が展開した。
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