深夜も「隠れ営業」するお店も
午後8時までの時短営業要請を受け、小規模なバーは休業を選ぶ店も多いが、Tさんは店を開け続けている。

協力金をもらい「時短営業」を表明しているが、常連客から連絡があった時には、8時以降でも隠れて営業することもある。

「この辺の店では協力金をもらいながら、隠れて営業をしている店も珍しくない。隠れ営業がばれたという話も聞きません」(Tさん)

Tさんにとっては、1日6万円の協力金は平均的な売り上げの3倍。たとえ休業したとしても収入には困らないが、「お客さんが来てくれるというなら、店を閉める選択肢はない」と言い切る。

「コロナのような状況になれば、私のような自営業は本当に弱い立場。こんな時期だからこそ、かき集めてでもお金を貯めないといけない。コロナが落ち着いたとしてもお客さんがどうなるか分からず、少しでもお客さんをつなぎ留めたい。『毎日やっている店だから』と来てくれるお客さんがいる以上、それがたとえ8時以降であっても店を閉める勇気はない」

「客が来なくても数カ月は営業できる」

午後8時以降の営業自粛を受け、店を閉めている個人経営のバーも多い。休業中の生活を支えているのは、言うまでもなく協力金だ。

同じく新宿区のビルで、7席だけの別のバーを一人で経営しているMさん(50)も緊急事態宣言中は店を休業している。

Mさんが店をオープンさせたのは2001年。以来、定休日もなく、午後8時から午前5時まで、毎日お店を開け続けてきた。休業中の売り上げはもちろゼロだが、1日6万円の協力金は、通常営業日の数倍の収入にあたる。

「4月以降の協力金の蓄積もあるので、緊急事態宣言後、お客さんが戻らなくても数カ月は営業を続けられます。個人経営のバーにとって、補助金の額はそれくらい大きい金額です」