これまで10年以上、減少傾向が続いていた自殺者。
しかし2020年は『増加』に転じた。

コロナ禍で一体何が起きているのか…。
緊急取材を行った。

電話相談が『2割』増加…コロナ禍で何が?
取材班が向かったのは、大阪で40年近く自殺を防ぐために電話相談をしているNPO法人『国際ビフレンダーズ大阪自殺防止センター』。

NPO法人国際ビフレンダーズ大阪自殺防止センター・北條達人理事長:
だいたいひと月で1万件を超える着信があって、そのうち500件弱しか電話がとれてない現状があります。

このNPO法人では、毎週金曜日の午後1時から日曜日の午後10時までの57時間、ボランティアの相談員が交代で常駐し、匿名で寄せられる電話相談に応じている。

男性相談員の相談の様子:
やっぱりあれですか?仕事も少なくなったりですか?コロナの影響で… 

2020年の電話相談は、新型コロナウイルスが流行する前に比べ約2割増えたという。

――コロナ禍の中で相談の傾向は?

北條達人理事長:
夏ぐらいから30代女性の相談をちょっと多く取るようになったなって印象があって。相談は暴言とか暴力をふるうような夫が、コロナ禍でより一層その傾向が強くなった。
経済的な問題も発生したりとか、今までの問題プラスアルファでコロナ禍の影響が加わって、八方ふさがりの状態に陥ってしまっている

男性相談員:
初見の方というか、初めて伺う方の比率が増えているように思う。

自殺者は、2009年の3万2845人から2019年の2万169人まで毎年減少を続けていた。

しかし2020年は2万919人と11年ぶりに前年より増加。
女性の自殺者が900人近く増えたからだ。

深夜2時過ぎは『魔の時間』…鳴りやまない電話相談
センターにかかってくる電話は昼夜を問わない。

――今、深夜の一時半ですが…こんな時間でも相談の電話は鳴る?

北條達人理事長:
むしろ深夜の方が相談の件数が増えることがあります。深夜2時を超えると、その時間を『魔の時間』という言い方をしていて、心理的にもより孤独感が増したりだとか、耐え難い時間帯だとよく言われるんですね。
真夜中、自分が寝られずにずっとしんどい思いを抱えて朝まで待つのは辛いことだと思う。こちらが着信件数のカウンターですが、13時間くらい経って712件、着信がありました。
700件のうち、今日だったら20〜30件も(電話)取れてないんじゃないかなって思いますね。

一度受話器をとると1時間ほど相談に応じることも多く、限られたボランティアの相談員で受けられる件数には限界がある。

相談は新型コロナウイルスを直接的な理由にしたものだけではない。
人と会う機会が減り、孤立感を強めて、今まで抱えていた苦しい思いに耐えられなくなっている人も多いという。

午前3時前…この夜も着信音は鳴りやむことはなかった。


https://news.yahoo.co.jp/articles/c94b850857f23c6c3c5fda8e938dd4917b5bcdee
2/6(土) 18:01配信