読売新聞オンライン/2021/02/23 06:00
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20210223-OYO1T50007/

新型コロナウイルス対策で政府が全世帯に配布した布マスクを巡り、国と納入業者の交渉過程を記した文書が開示されないのは不当だとして、神戸学院大の上脇博之教授が22日、国に開示を求めて大阪地裁に提訴した。

布マスクは、昨年4月から配布が始まったが届く時期が遅れたほか、約260億円の費用がかかり、「アベノマスク」とやゆされた。

上脇教授は同4〜7月、国が随意契約を結んだ業者とのやり取りを記載した文書の情報公開を厚生労働省などに請求したが、「文書を作成した事実はなく、保有していない」として開示されなかったという。

訴状では、契約前に価格や納入時期などについて業者と面談やメールで交渉し、その経過を残しているはずだと主張。公文書管理法は行政機関による意思決定の過程を検証できるよう定めており、「巨額の税金が使われており、国民に説明する責任がある」とした。

国側は「内容を把握しておらずコメントできない」としている。布マスクを巡り、上脇教授は国に契約単価や発注枚数の開示を求める訴訟も起こしている。