COCOAやHER-SYSなど、新型コロナの感染対策システムのポンコツぶりが次々明らかになり、菅義偉首相が旗を振っている「デジタル化」の化けの皮がどんどんはがれているが、ここにきてさらにとんでもない疑惑が持ち上がった。

 17日の衆院予算委員会で、日本年金機構の法令違反通報窓口に「中国のネットで年金受給者の個人情報が出回り、マイナンバーも流出している」という通報メールが送られていたことを、立憲民主党の長妻昭議員が明らかにしたのである。


このメールが届いたのは、2017年12月31日。その直後、日本年金機構がデータ入力作業を委託していた情報処理会社「SAY企画」が中国の関連会社に年金受給者約500万件の入力作業を再委託していたことが発覚。この一件は、禁止されていた再委託をおこなっていたというだけでなく、中国に個人情報が流出したのではないかとして大きな問題になり、政府は予定していた年金情報とマイナンバーの連携を延期せざるをえなくなった。通報メールはこの中国再委託問題発覚の端緒となったものだったのだ。

ところが、日本年金機構も管轄する厚労省も当時、このメールの具体的な中身を一切公表せず、ひた隠しにしていた。そして、特別監査を実施し、外部事業者の日本IBMに調査を依頼した結果、中国の業者に渡したのは名前とふりがなだけでマイナンバー情報は渡しておらず、この業者からの個人情報の流出はなかったとした。

 しかし、今回、長妻議員が問題の通報メールを厚労省から入手したところ、2018年分の「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」にあった個人情報が中国のネット上に大量に流出、そこには、年金受給者名、生年月日、配偶者の年収とともに、マイナンバーまでが含まれていると書かれていた。また、それとともに、ひとりの人物のマイナンバーや住所、年収などの情報も添付されていた。

 16日、長妻議員が日本年金機構の水島藤一郎理事長に確認したところ、このマイナンバーや年収は実在する者の正しい情報だと認めたという。

 個人情報が流出しているのではないかと問題になっていた最中にこんな重要な告発を隠蔽していたというのは、まさに国民への背信行為以外の何物でもないが、呆れ果てるのは、事実が発覚したいまも政府や日本年金機構の隠蔽姿勢が変わっていないことだ。

 というのも、17日の衆院予算委員会に日本年金機構の水島理事長が出席し、長妻議員があらためて通報メールにあった、流出したとされるマイナンバーと名前などが実在する正しいものかどうか問うたところ、水島理事長は一転して「マイナンバーが正しいものであるかは、確認することを控えさせていただきたい」とごまかそうとしたのだ。

 これについては、長妻議員が「昨日、お聞きした話と違う」と追及し、結局、水島理事長は「正しい情報」であることを認めたが、流出については、「外部の専門事業者による調査を実施したが、マイナンバーなどの個人情報の流出はしていない」「通報メールの情報が流出されたものかどうかは確認されていない」と、かたくなに流出の可能性を否定。「じゃあ、このメールにあったこの情報はどこから入手したのか」と問われても、「それはわかりません」としか答えなかった。

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