徳島県三好市の秘境、祖谷渓を走るボンネットバスが、今年限りで引退することになった。老朽化で整備に手間がかかり、部品の調達も難しいためだという。譲渡や廃車により最後の1台だった。「ラストイヤー」となる今年の運行が始まる4月を前に、乗車予約を受け付けている。
運行する四国交通によると、ボンネットバスは1966年製。路線バスで使われてきたが、82年からは定期観光バスとして春から秋にかけて大歩危や祖谷渓を走り、観光客に親しまれてきた。丸みを帯びた車体のレトロな雰囲気が、渓谷の狭く曲がりくねった道と合っていると、訪日客にも人気が高かった。
近年は老朽化が進み、エアコンがないため夏季(7〜9月)の運行ができず、定員も通常の観光バスより少なかった。昨年いっぱいでの引退が予定されていたが、コロナ禍で実質2カ月ほどしか運行できなかったため、1年延期していた。
四国交通営業部の原田佳彦さんは「運行中に故障して立ち往生することもあり、これ以上お客様に迷惑をかけるわけにはいかない。感染状況が見通せないが、ファンの方にも最後にご乗車いただきたい」と話している。
運行は4〜6月と10、11月の土日祝日。コロナ感染対策のため、定員を11人ほどに減らす。点検や整備のため、車両が通常のバスになる場合もあるという。
コースは、JR阿波池田駅を午前10時半に発車し、観光名所の「祖谷のかずら橋」、祖谷渓に立つ「小便小僧」の銅像などを回って、午後4時40分ごろ阿波池田駅に戻る。途中で郷土料理の昼食をとったり、大歩危峡の遊覧船に乗ったりする。
https://www.asahi.com/amp/articles/ASP3374S7P31PTLC028.html