>>106日本企業がメッセージアプリを作れなくなった原因

京都府警は2004年、著作権法違反「幇助」の容疑で金子氏を逮捕した。P2Pソフトの利用者を違法とする判決は世界に多いが、
開発者が逮捕されたのはこの事件が初めてだった。これは世界的な反響を呼び、
ちょうどアメリカでは銃規制が問題になっていたため、ローレンス・レッシグ
(ハーバード大学教授)は「違法コピーの道具の開発者が逮捕されるなら、
銃の製造・販売業者はすべて殺人の幇助で逮捕すべきだ」と主張した。

 一審の京都地裁は金子氏を有罪としたが、二審では逆転無罪となり、
2011年に最高裁が検察側の上告を棄却して無罪が確定したが、このときはもう遅かった。
金子氏の逮捕で「P2Pは違法だ」というイメージが広がり、日本ではP2Pシステムの開発が止まってしまったのだ。
それどころか検索サーバにキャッシュを置くのも違法だといわれ、検索エンジンの開発も止まった。

 その間に世界では、P2P技術を利用したIP電話、スカイプが普及し、
今では国際通話のほとんどはスカイプで行なわれるようになった。
これで使われたのが、金子氏の開発したキャッシュ技術だった。
他にもこの技術はサーバ間の転送などに使われており、
もしWinnyが合法的に改良されていれば、日本から革新的なビジネスが出たかもしれない。