米メディアはバイデン政権がインフラ整備を含む総額3兆ドル(約330兆円)規模の成長戦略を検討していると報じており、財源にも注目が集まっている。イエレン氏は、法人税引き下げ競争の是正に加え、海外へ拠点を移した米企業への罰則的な税制にも言及した。増税を含む成長戦略は「米経済が再び強くなったとき」に実施するとして、景気回復に水を差すことはないとの認識を示した。
一方、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、「インフレの影響は大きくもなければ継続もしないだろう」と証言し、景気回復による物価上昇は持続しないとする従来の見解を繰り返した。
1.9兆ドル規模の追加財政出動と新型コロナウイルスワクチンの普及で米景気は回復し始めており、物価上昇への懸念が強まっている。パウエル議長は、前年の物価が低いために伸び率が大きくなる「ベース効果」に急ピッチな需要回復が加わり、物価は一時的に上昇するとの認識を示した。インフレは持続的ではなく、上昇が懸念される場合には「対処するツールがある」とも述べた。
両者が出席した公聴会は、約1年前に成立した緊急経済対策(新型コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法)に基づいて開かれた。
FRBのブレイナード理事は同日、ボストンのイベントで、気候変動が金融システムにもたらす課題に対処するために、FRBが新たに2つの委員会を設置したと明らかにした。
FRBの気候変動に関する取り組みに対して、公聴会では共和党議員が、監督強化で温暖化ガス排出企業への融資に悪影響がでると懸念を示した。これに対しパウエル議長は、「金融機関がリスクに備えるようにするのが役割だ」とした上で「リスクがどのようなものかの理解に努めている段階だ」と述べた。
日本経済新聞 2021年3月24日 7:38
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN240970U1A320C2000000/