高齢者へのワクチン接種が本格化 潜在看護師も活躍
宮城県では、高齢者を対象にした新型コロナウイルスワクチンの接種が本格化しています。
このうち、柴田町では、医療従事者の要員を増やそうと確保した、現役を退いたいわゆる「潜在看護師」たちがワクチン接種の業務にあたりました。
新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐっては、県内では、先月から、仙台市など多くの自治体で、高齢者施設での接種が進んでいます。
１０日からの週からは、一般の高齢者向けの集団接種や個別接種が、大河原町、涌谷町など県内の３割にあたる１２の自治体で始まり、接種が本格化します。
このうち、柴田町では、現役を退いたものの現場を離れている、いわゆる「潜在看護師」が接種の業務にあたりました。
町ではワクチン接種に必要な医療従事者の要員を確保しようと、注射を打つ研修を行って準備を進めてきたもので、１０日、町内の７５歳以上の高齢者へのワクチン接種が始まり、８０人の高齢者が町の生涯学習センターに集まりました。
高齢者たちは、初めに医師の予診を受け、これまでアレルギー反応が出たことがあるかどうかなどの質問を受けました。
そして４人の「潜在看護師」たちが２人１組になって、高齢者たちに声をかけながら、注射を打っていました。
ワクチン接種を受けた７０代の女性は「接種を受ける前は怖いなと思っていましたが、看護師の方がやさしく対応してくださり、安心して受けられました」と話していました。
柴田町健康推進課の佐藤史康コロナワクチン接種推進班長は「一日でも早く高齢者の皆様にワクチン接種を受けてもらえるよう、潜在看護師の力も借りながら、接種を進めていきたい」と話していました。
一方、ワクチン接種の対象者数が県内で最も多い仙台市によりますと、市内の一般の高齢者向けの接種の予定は未定だとしています。
柴田町が新型コロナウイルスのワクチン集団接種で現役を退いた、いわゆる「潜在看護師」を活用する背景には、各地で課題になっている医療従事者の不足があります。
新型コロナウイルスワクチンの集団接種は柴田町では、７５歳以上の高齢者への接種をことし７月までに終わる予定ですが、新型コロナのワクチン接種を行う場合、実際の接種のほかにも、注射器に薬剤を入れる作業や予診、それに副反応が起きていないかを確認する経過観察など、さまざまな役割を医療従事者が担う必要があります。
柴田町では、接種の直前に対応する予診については医師１人が担うことにしていますが、医療機関で通常の診療などを行っている医師や看護師を複数人、長時間かつ何日も確保することは難しいのが現状だということです。
このため、町は、いったん現役を退いた「潜在看護師」にワクチン接種への応援を依頼し、１２人が接種など行うことにしています。
２年前に町内の医療機関に勤めていた６０代の潜在看護師の女性は「柴田町内での勤務が長かったので、みなさんの予防の役立ちたいと思い、応援にきました。２年のブランクはありましたが、注射のやり方は体が覚えていて、住民の方とふれあえる機会ができて、この仕事が好きなんだと改めて思いました」と話していました。
05月10日 19時16分
NHK
