感染力の強い変異株の影響もあり、3度目の宣言が出て1カ月が過ぎても重症者は増える一方で、特に地方での増加が顕著だ。
感染防止の頼みの綱となるワクチンも高齢者への接種が本格化したばかり。コロナ禍の出口は見えない。
重症者数の多さは深刻なレベルだ。厚生労働省によると、4月8日までは500人を下回っていた全国の重症者は、同30日には1000人を突破。
増加は収まらず、5月21日には1300人台に達した。24日現在、1294人に上る。
同日の重症者は、東京都が68人、大阪府が318人。第4波のピークと比べ東京は約8割、大阪は約7割まで減っている。
それでも全国で重症者が膨らむのは、東京・大阪圏以外で増えているからだ。
緊急事態宣言発令が遅かった地域の増加が著しい。東京や大阪などの2週間以上後に宣言が出た愛知県の重症者は、
24日が89人で、大阪と兵庫県に次いで多い。1日の33人から約2・7倍に膨れあがった。
同様に1日と24日を比べると、宣言が東京などの3週間後だった北海道と岡山県、広島県は2〜3倍、1カ月後だった沖縄県は6倍に跳ね上がった。
病床は逼迫している。内閣官房によると、24日時点の沖縄県の重症者病床使用率は92%。
愛知と大阪、兵庫、岡山、福岡の5府県も感染状況が最も深刻な「ステージ4」(50%以上)だ。
愛知の大村秀章知事は26日の記者会見で宣言延長要請について「言わずもがなだ。宣言の解除とか卒業とかいう話になるわけがない」と話した。
重症者を減らすのに期待がかかる高齢者へのワクチン接種は、5月から本格化している。
だが、65歳以上人口に占める1回目接種を終えた人の割合は、全国平均で6・1%(23日時点)にとどまる。
接種スピードにはばらつきがある。山形や石川など8県は10%以上だが、宣言が出ている10都道府県は10%未満。
大阪は4・6%と全国平均よりかなり低い。医師や看護師がコロナ患者の診療に追われているとの事情があるとみられる。
24日から各地で大規模接種センターが稼働し、日本医師会の釜萢敏常任理事は「65歳以上の接種が終了すると、状況は少し変わってくる可能性はある」と話す。
だが、政府が目指す7月末までの高齢者接種完了は見通せないほか、小池百合子都知事は26日、記者団に
「ワクチン接種との時間差も考慮しなければならない」と効果が出るまで、ある程度の時間を要するとの見方を示した。
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