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またカバラの実用的方面は、幾多の魔法や妖術等で以て、万病を治療することになって居るが、
是等の事柄も、敢て必ずしも猶太人の案出にかかるものではなくて、却って其の源をカルデアに發するものらしい。
其の外、總ての猶太律法やカバラの記錄の基本となって居る「選ばれた民族」論の主張の如きも、
古代のエジプト人も亦同様に、自らを「神々の寵愛せる民族」と信じた所から察すると、
是れも純然たる猶太人のみの専売特許品ではないようだ。

とは云ふものの、斯う云った信仰を、神の特別寵愛とまで、僭称して憚らなかったのは、確に猶太人だけであって、
彼等の主張する所に依ると、舊約聖書に、エボバが人間を作ったとあるのは、
エボバが、イスラエル人(即ち猶太民族)を作ったと云ふ意味であり、又
「心霊を持ってゐるのは、猶太人だけであるから、從って神に象って作られた人間は、猶太人のみである」