新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、単なる短期的な病気ではない。
患者を衰弱させる身体症状や精神症状が、感染の数カ月後まで、場合によっては数年後まで続く可能性がある。

以下では、新型コロナウイルス感染症の後遺症について、これまでにわかっていることをまとめた。

初期調査の大多数は入院患者だけを対象としており、現在でもまだ明確な診断基準は定まっていないが、
複数の研究では、新型コロナウイルス感染症患者のおよそ10〜30%は症状がなかなか消えず、長く後遺症に苦しむことが示唆されている。

患者が訴える症状は幅広く、最初の感染から消えるまでに数カ月かかることもある。
症状の例としては、疲労感、継続的な呼吸器系の問題、嗅覚と味覚の喪失、「ブレインフォグ」(頭がぼうっとする状態)、
記憶障害、頭痛、筋肉痛、うつ状態などが挙げられる。

後遺症のリスクが最も高いのは、どのような人なのだろうか。それについてはまだはっきりわかっていないが、感染時の重症度とは関係がないようだ。

また、初期の感染とは異なり、年齢との関連はごく弱い。つまり、子どもや若者にもリスクがあるということだ。

後遺症が続く期間についても、まだ解明されていない。英エクセター大学の上級臨床講師、デイビッド・ストレイン博士がフォーブスに語ったところによれば、
新型コロナ後遺症に最も近い病気は、おそらく慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎とも呼ばれる)だろうという。慢性疲労症候群は数十年にわたって続く場合もある。

慢性疲労症候群と同様に、新型コロナ後遺症に悩む人に対しても、まだあまり治療法が存在しない。
とはいえストレインによれば、mRNAワクチン(ファイザー製とモデルナ製もこれに含まれる)が症状を緩和できることを示唆する有望な研究知見もあるという。

新型コロナ後遺症については、その原因をはじめ、わかっていないことが多い。
疫学者でロンドン大学クイーンメアリー校の上級講師を務めるディープティ・グルダサニ博士は、フォーブスにそう話している。

感染後に残っているウイルスの影響や炎症の影響が続いているとも考えられるし、体が自己免疫反応を起こしている可能性もあるとグルダサニは説明している。

生物学的に言えば、新型コロナ後遺症は複数の障害の集合体である可能性もあるという。

新型コロナウイルス感染症は当初、呼吸器疾患と理解されていたが、現在では、全身に影響を及ぼすことがわかっている。
「影響を免れる臓器はない……組織に侵入し、脳でも発見されている。初めて感染してからずっと後になっても腸内に残っていることが確認されている」とグルダサニは述べる。


新型コロナウイルスのデルタ株は、ワクチン接種率の高い国においても、未接種の人のあいだで急速に広がっている。
子どもの多くはまだ接種を受けておらず、とりわけ感染しやすい状態にある。

そして、学校でのマスクや距離の確保などの対策不足から、子どもたちを通じてウイルスが拡散している可能性もある、ともストレインは指摘している。

米疾病予防管理センター(CDC)は7月9日、学校でのマスク着用に関する新たな指針を発表。
成人向けの指針と同様に、2回の接種を完了している場合に限って屋内でのマスク着用を不要とした。

3370万人。この数字は、ジョンズ・ホプキンス大学のデータにもとづく、米国でこれまでに新型コロナウイルス感染症に感染した人の数だ。

ここからこの感染症による死者数を引き、10%という控えめな推計値を使って後遺症が残る人の数を計算すると、
心身を衰弱させるしつこい症状に苦しんでいる人は330万人にのぼる可能性がある。
https://forbesjapan.com/articles/detail/42455