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ドイツの研究チームはアフリカ中部ガボンで野生のチンパンジーとゴリラの行動を観察した/Courtesy Lara Southern/LCP

(CNN) 野生のチンパンジーがゴリラを襲って殺す行動が初めて観察されたとして、ドイツの研究チームが学術誌に論文を発表した。

研究チームはアフリカ中部ガボンにあるロアンゴ国立公園で、チンパンジー約45頭を観察していた。チンパンジーとゴリラはそれまで穏やかな関係を保つのが普通だったことから、獰猛(どうもう)な様子に驚いたという。

この研究は、ドイツのオスナブリュック大学とマックスプランク進化人類学研究所が19日の科学誌ネイチャーに発表した。

研究チームがその様子を初めて目撃したのは2019年。「最初はチンパンジーの叫び声に気付き、近くにいるチンパンジーの集団と出会っただけだと思っていた」と研究者は振り返る。

「ところが続いてゴリラが胸をたたく音が聞こえ、チンパンジー集団がゴリラ5頭と対峙(たいじ)していることがわかった」

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ゴリラとチンパンジーが対峙する様子は2度確認され、どちらも1時間ほど続いた/Courtesy Lara Southern/LCP

研究チームが記録した2回の遭遇のうち、1回目は52分、2回目は79分続き、チンパンジーが徒党を組んでゴリラを襲っていた。

ゴリラは大人のオスとメスが自分たちと子どもを守ろうとしたが、子ども2頭が母ゴリラから引き離されて殺されたという。

それまでチンパンジーとゴリラは比較的リラックスした関係にあると思われていた。互いに戯れる様子を目撃した研究者もいるという。

「チンパンジーの存在が、ゴリラに致命的な影響を与えうることが初めて証明された」と研究者は解説し、理由については「チンパンジーとゴリラ、ゾウによる食料源の共有が争いの激化につながり、大型類人猿同士の致命的な関係につながったのかもしれない」と推測している。

CNN 2021.07.23 Fri posted at 13:04 JST
https://www.cnn.co.jp/fringe/35174278.html