家1軒に5400本もの尿入りペットボトルがあることも…「つらい」「気が狂う」ゴミ屋敷清掃員が目にした“悲惨な現場”

 うずたかく積み上がったゴミ山に登り、虫が湧いている箇所に手を突っ込み、放置された排泄物を片付けて……。
「きつい」「汚い」「危険」な要素が含まれている労働を称す「3K」のなかでも、とりわけ厳しいゴミ屋敷清掃の仕事

■大量に発見された“ションペット”

 ところで今回の2階の息子エリアからは、あとから茶色のペットボトルが大量に発見された。中身は尿だ。
重度のゴミ屋敷だとトイレが使えなくなるため、居住者はペットボトルで用を足すようになる。
作業員の間で“ションペット”と呼ばれる。

「ゴミ屋敷が日常化してしまうと、トイレはペットボトルという感覚になるんでしょう」と、石見さんは言う。

「家の中に1本見つかれば、普通は100本以上出てきます。私はゴミ屋敷を“戦地”のようなものだと捉え、
戦略を練って突撃する気持ちで作業(掃除)に臨んでいます。

 ションペットもある種、爆弾。かつてはこの烏龍茶が入っているような茶色のペットボトルを発見しても
何かわからず、時にはうっかり踏んでしまって周囲に漏れてしまったり、破裂したりして大変な目に遭いました。
今はペットボトルを見たら疑います」

 ションペットを見つけたら、漏れないように専用のハードな衣装ケースに収容して、
会社(あんしんネット)まで持ち帰る。そして1本ずつ中身の尿をトイレに流さなければならない。

■「つらい」「気が狂う」

「ゴミ屋敷の現場で尿を捨てると、臭気でご近所の迷惑になってしまいますから、会社に戻ってから
流すしかないんです。1階のトイレで流していると、2階まで臭気があがってきます。これまでの最高記録は
1軒に5400本のションペットがありました。もちろんすべてフタを開けて、中身をトイレに捨てました。
防毒ガスマスクを着用してやりましたよ」

 この尿をトイレでひたすら流す作業については、誰もが「つらい」「気が狂う」と言う。時には吐いてしまう
作業員もいると聞いた。ションペットの処理作業に慣れはなく、長年の経験を積む石見さんでさえも
「これをやる時は一切の思考を停止させて、ほぼ無心で動いている」と話す。

「正常な感覚で臨むと、頭がおかしくなるかもしれません。みんな本音はやりたくないですし、
それをやらせるほうもまた覚悟がいります」

「社会的にきちんとしている人ほど、部屋にションペットがあったりするんですよ。お茶の先生、学校の先生、
医療関係者とか。人前できちんとしすぎているから、家の中がイカれちゃうんじゃないんですか。靴箱に
ションペットがずらりと並んでいたこともありました。そんな現場では、よく社員さんから指導される
“依頼人の心に寄り添う”なんて絶対無理ですね」

https://news.yahoo.co.jp/articles/74d10770875a82164ac0938fabc3678b5f308606