【ロンドン=池田慶太】

英外務省のニック・ブリッジ気候変動特別代表が読売新聞のインタビューに応じ、日本に石炭火力発電施設の「全廃」を求めた。
10月31日に英国で始まる気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を前に、石炭火力の使用を一部で継続する方針の日本に対し、厳しい態度を示したものだ。

英国はCOP26でイタリアと共同議長を務める。ブリッジ氏は2017年から特別代表職にあり、各国に働きかけ、より高い目標で合意するための環境整備役を担っている。

ブリッジ氏はインタビューで、石炭火力が「もはや経済的でなく、いかなる形でも環境汚染を生むのは明らか」と指摘した。
先進7か国(G7)首脳が6月に排出削減対策が取られていない石炭火力発電への新たな公的支援停止で合意したことを評価し、
COP26では、先進国は30年までに全廃とする目標で合意したい意向を示した。

日本に対しては、「さらに踏み込むことができる。早期に全廃時期を示すことを期待する」と促した。

また、日本を含む各国に、35年までに電気自動車(EV)など「完全にクリーンなゼロエミッション車」への移行を働きかけていることも明かした。
英国と欧州連合(EU)がハイブリッド車を含む全てのガソリン車の新車販売禁止に動いていることを念頭に、
「日本メーカーは(脱ガソリン車に)迅速に動かなければ市場シェア(占有率)が大きく落ち込むリスクがある」と指摘した。

COP26は新型コロナウイルス対策を徹底し、対面形式で開く方針で、
習近平中国国家主席を含む各国首脳に参加を呼びかけているという。インタビューは18日にオンラインで実施した。
https://www.yomiuri.co.jp/science/20210820-OYT1T50371/