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分科会が示した「ワクチン・検査パッケージ」の基本的な考え方は以下の通りだ。

(1)適用しても、マスク着用などの基本的感染対策は当分続けること
(2)行動制限の緩和は状況に応じて段階的に行うこと
(3)感染リスクが高い場面や活動、クラスターが発生した際の重症者の発生や地理的なインパクトが大きい場面や活動を、適用対象とする
(4)国や自治体が利用する場合には、事業者などの意見を聞いた上で適用する
(5)イベントなどで適用する上では、技術実証なども活用する

どんな場面で「ワクチン・検査パッケージ」が必要に?

体的にはどんな場面で「ワクチン・検査パッケージ」が必要となると想定しているのか。
尾身会長が示したのは次のような場合だた。いずれも緊急事態宣言が解除され、感染状況が現在よりも改善していることが前提だという。

・医療機関や高齢者施設、障害者施設への入院、入所および入院患者や施設利用者との面会
・医療、介護、福祉関係の職場への出勤
・県境を超える出張や旅行
・全国から人が集まる大規模イベント
・大学での対面授業
・部活動における感染リスクの高い活動

なお、同窓会などでの大人数での会食や冠婚葬祭などに適用すべきかどうかについては「迷った」とコメント。
また、百貨店など大規模商業施設、カラオケなどの従業員や飲食店などでの適用は「検討が必要」としている。
修学旅行や入学試験、選挙や投票、小中学校の対面授業などでは「適用すべきでない」とした。

「光は見えているけど、無条件には来ない」
「どのような日常生活を望むのか、我々自身が考えていく時期に来ていると思います」
「ワクチンが一定程度行き渡ったから万歳ではありませんよ、ということです」
尾身会長は高いワクチン接種率を達成したとしても、それだけではコロナ前の生活は戻ってこないと指摘。
「片一方では希望が見える。しかし、光があると同時にリアリティーも知ってほしい」とした。

「いかなるシナリオだっても、ワクチンだけではすべては解決しない。行動制限を完全にゼロにすることはできないんだけど、なるべく軽くしたい。そのためには接種率の向上、それから科学技術の活用、ワクチン・検査パッケージや飲食店の第三者認証などが必要になる」
「こういうことをやっていけば光は見えてくる。ただし、光は見えているけど、無条件には来ない。ひとつのことでウイルスに対処することはできないということです」

これまで分科会は政府に対して提言してきたが、今回の提言は趣旨が異なる、と尾身会長は語った。
「今までは分科会が政府に提案し、政府が一般市民へ伝える。比較的、一方向でした。ところが今は、一般市民や事業者などを交えた国民的な議論が必要です。
どのような日常生活を望むのかは一人ひとりが選択する事柄ですし、一人ひとりが関与したいという思いもあるでしょう」
「一方向のやり方では納得感は得られないのではないかということで、この提言を叩き台に、国民的な議論をしていただきたい」