負ければ冷や飯…自民総裁選、推薦人にも「覚悟」
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自民党総裁選(17日告示、29日投開票)を前に、各陣営は15日、立候補に必要な20人の推薦人名簿の作成を進めた。告示日に公開される推薦人名簿は、候補者の党内基盤を示し、投票権を持つ党員・党友へのアピールにもつながる。推薦人は候補者が当選すれば人事などで優遇が期待できる一方、負ければ冷や飯を食うリスクを抱えるだけに、運命共同体とも言われる。

「これだけ集まってくれたんだから、ちゃんと扱わないといけない」

立候補を表明している高市早苗前総務相の選対幹部は15日、前日の選対本部発足式に出席した議員から優先的に推薦人を選ぶ方針を示した。名簿は衆参両院、当選回数、男女などのバランスを考慮した上で派閥横断的な議員による構成にし、党内の幅広い支持基盤を示した上で、支持拡大につなげたい考えだ。

推薦人制度は、候補者の乱立を防ぐため、田中角栄氏が勝利した昭和47年の総裁選で「推薦人10人」の要件を設けた。派閥の影響力が増すにつれ、推薦人は52年に20人、中曽根康弘内閣が誕生した57年は50人まで引き上げられた。しかし、議員定数削減などで徐々に要件は緩和され、現在の20人に至っている。

推薦人になる最大のメリットは、論功行賞で内閣や党の役職を得やすいことだ。昨年9月の前回総裁選では、菅義偉首相の推薦人に河野太郎ワクチン担当相をはじめ、平沢勝栄復興相、坂本哲志地方創生担当相、山口泰明選対委員長らが名前を連ねていた。一方、首相と争った岸田文雄前政調会長の推薦人では上川陽子法相のみが入閣し、石破茂元幹事長の推薦人からの入閣はゼロだった。

今回は、推薦人となることに慎重な議員も少なくない。主要派閥が首相支持に雪崩を打った前回とは異なり、支持候補を一本化しない派閥が相次ぎ、「勝ち馬」を読みにくいためだ。

総裁候補がいない二階派(志帥会)の議員は「2陣営から推薦人を頼まれたが、どちらに行けばいいのか。こんなに読めない総裁選は珍しい。推薦人になるにも覚悟が必要だ」と吐露した。