自民党総裁選(17日告示、29日投開票)をめぐり、ここへきて高市早苗前総務相が失速気味だ。原因は“後ろ盾”の安倍前首相。
「党風一新」を呼び掛けるチルドレンの反乱だけでなく、絶大な影響力を有しているとされる出身派閥で党内最大派閥の細田派(96人)でも「安倍離れ」が加速しているというのだ。

■絶大な影響力のはずが…威光に陰り

「先週の派閥総会では17人が発言しましたが、高市さんの支持を明言したのは3人だけでした。派内の若手は河野さん支持が多く、ベテランは岸田さん。
とても派の方針を一本にまとめられる状況ではなく、幹部連中は『方針は決めない』『決選投票も含め自主投票だ』と言っています。
高市さんに投票するのは、多くても派閥の4分の1程度、20〜25人ではないでしょうか」(細田派関係者)

 細田派内で国会議員票を稼げると計算していた高市氏と安倍前首相にとっては誤算。
高市氏擁立の母体ともいえる党内右派グループ「保守団結の会」の安倍シンパの面々が、「安倍さんに恥をかかせてはいけない」と大慌てだという。

「細田派内の安倍シンパと言えば、当初は高市さんを推していたはずの萩生田文科相と世耕参院幹事長も最近は腰が引けている。
安倍さんも焦り出したのか、細田派以外の子分にも電話をかけ、『高市をやってくれ』と指示を出しているそうです」(細田派関係者)

■安部前首相に「これ以上大きな顔をされても困る」

 細田派のベテランが「高市NO」なのは、かつて同派の前身の町村派に所属していた高市氏が派閥を退会する際、「後ろ足で砂をかけるように出て行った」(自民党ベテラン)ため恨み骨髄だからとされる。

「もっとも、理由はそれだけじゃありません。高市さんが善戦すれば、それはイコール安倍さんの威力ということになる。
細田派の幹部たちにすれば『これ以上、安倍さんに力をつけられ、大きな顔をされても困る』ということ」(前出の自民党ベテラン)

 総裁選で高市氏のライバルとなる岸田前政調会長と河野行革担当相が、政策を保守色に寄せてきたことで、保守系の党員・党友票での高市氏優位は薄れてきてもいる。
さらには13日、河野氏が石破元幹事長と会談し、協力要請した。石破氏が不出馬なら、党員票が河野氏に雪崩を打ちかねない。

 最終的に高市氏がどれだけ票を集めるかは、安倍前首相の真の実力が分かるバロメーター。大恥をかくことになるかもしれない。 
https://news.yahoo.co.jp/articles/f30476981560a97b77cd8680f2cfaa9ae8b5af3e