「自分が国家・国民のために何をやりたいのか、堂々と政策論争をしてほしい。『政治の劣化』を食い止め、活性化につなげてほしい。誰が『天下人』になれるか…。最後はちょっとした優しさや思いやり、慈しみや愛情を持っているのかどうか、そんな人間力が問われる」

 宗男氏は自民党総裁選について、こう語った。

 「北海のヒグマ」と呼ばれた中川一郎元農相の秘書を長年務めた宗男氏は、1983年衆院選の旧北海道5区で無所属で初当選し、自民党に追加公認された。以来、衆院議院運営委員長や内閣官房副長官、北海道・沖縄開発庁長官などを歴任。2002年に離党している。

 総裁レースへの「出場資格」について、宗男氏は「最低でも20年以上の議員経験を積み、基礎体力を付けておくべきだ。その意味では、岸田、高市、河野各氏ともクリアしている」といい、それぞれを分析した。

 まず、岸田氏については、「国会は山賊、海賊の集まりで、『俺が俺が』の世界だが、岸田氏には我がない。安倍晋三前政権時代は、外相としてしっかり首相の意向を踏まえ、丁寧に対応した。芯もある。バランス感覚にも優れているのがいい」と語った。

 高市氏については、「女性政治家として、堂々と『保守の理念』を訴えている。度量もある。大したものだ。自分なりの政策を淡々とした語り口で主張する点は、一定の評価を得るだろう。周りはそんな高市氏をしっかりと見ている」と語った。

 河野氏については、「突破力に面白味がある。何をするか分からない手法も、時には必要だ。ただ、持論の『脱原発』を封印し、原発再稼働を容認するような発言も始めた。どこまで自身の信念を曲げずに覚悟を持って政策を語るのか。あまりブレると、河野氏のカラーが薄れるのではないか」と述べた。

 ちなみに、「(出馬は)白紙だ」と念仏のように繰り返している石破茂元幹事長については、「日和見主義で、自分中心の最たるものだ。たとえ世論がもてはやしても、周りの議員が付いてこないのには理由があるのだ」と手厳しかった。

 注目の総裁選は、国会議員票383票と、同数の党員・党友票を合わせた766票を競う見通し。当選回数の少ない若手議員らは7日、「選挙の顔」を意識して、派閥の意向に縛られずに自主投票できるよう訴える提言案をまとめた。

 宗男氏はこうした動きについて、「あまりに身勝手ではないか」といい、次のように語った。

 「自民党は保守層からリベラルまで幅広いのが強みだ。この中で、独自のカラーを持つ派閥が脈々と続き、そうそうたる人材を育ててきた。私が自民党にいたときは、派閥は同じ『志』や『考え』を共有し、総理総裁を目指す人材をつくる組織だと教えられた」

 「寄らば大樹で、日ごろは派閥にすがりながら、いざというときに、やれ『自主投票だ』『勝手に行動させろ』というのでは筋が通らない。そういう行動は派閥を離脱してやるべきではないか。そんな自分本位の人物に国の将来を任すわけにはいかない。政治が劣化している」

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