全国商工新聞
第3481号2021年11月1日付

元静岡大学教授・税理士 湖東 京至さんが推算

トヨタ自動車をはじめ日本を代表する輸出大企業10社に、2020年度だけで1兆2千億円余りの消費税が還付―。消費税10%への増税を国民・中小業者に押し付け、コロナ禍で売り上げが激減している中小業者は「消費税が払えない」と悲鳴を上げる一方で、消費税を1円も納めていない輸出大企業に莫大な消費税が還付されている実態が明らかになりました。コロナ禍で売り上げが減っても、還付金は10社合計で1810億円も増えています。推算した湖東京至・元静岡大学教授(税理士)が実態を告発します。

 コロナ禍で中小事業者の売り上げは大幅に減り、赤字で法人税や所得税は納めなくてもよいのに、消費税だけは納めなくてはなりません。大企業のように価格に100%転嫁できて、消費税を“預り金”にできればいいけれど、そんな余裕はとてもありません。税率が10%に上がったため、納税額は増えています。消費税がなかったら、どんなに商売がスムーズにいくか、消費税がなかった頃が懐かしいですね。

売り上げ減少でも還付金は軒並み増
 一方、トヨタなど輸出大企業は消費税の税率が上がっても痛くもかゆくもありません。それどころか、世界的な景気後退によって売り上げは減少しているにもかかわらず、消費税の還付金は増えているのです。
 例えば、トヨタ自動車は2年前(2019年3月期)の売り上げが12兆6千億円でしたが、今年(21年3月期)の売り上げは11兆7千億円に下がっています。でも、消費税の還付金は2年前(税率8%)が3683億円だったのに、今年(税率10%)は4578億円に増えています(表1)。増えた理由は明らかに税率引き上げによるものです。ホンダや日産、マツダ、SUBARUなどの自動車メーカーも軒並み売り上げを減らしていますが、還付金は軒並み増えています。

https://www.zenshoren.or.jp/2021/11/01/post-12885

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