※日本経済新聞

米、医療従事者の隔離短縮が相次ぐ 陽性でも勤務可能に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN14DN80U2A110C2000000/

2022年1月15日 4:34 (2022年1月15日 5:22更新)

【ニューヨーク=山内菜穂子】新型コロナウイルスの感染拡大が続く米国で、感染した医療従事者の隔離期間を短縮する動きが出ている。一部の州では陽性でも無症状なら医療用マスクを着用し働けるようにした。入院増や感染する医療従事者の増加で逼迫する医療を維持するためだが、現場から批判の声も上がっている。

陽性でも無症状であれば、隔離も検査もせずにすぐに仕事に戻ることができる――。西部カリフォルニア州はこのほど医療従事者の隔離に関する指針を改めた。2月1日までの限定措置で「オミクロン型の増加により深刻な人手不足が生じている」と説明した。

濃厚接触者になった場合も無症状であれば隔離も検査も必要ない。現場に復帰する場合は医療用マスクの着用を義務づけたほか、できるだけコロナ患者の対応にあたるように求めている。

州内の一部の病院は州の方針を受けて、陽性で自宅隔離していた看護師らを呼び戻し始めた。地元メディアによると、ある病院では隔離していた30人のスタッフが勤務に戻った。一方で隔離ルールを変更しない病院もある。

東部ロードアイランド州も医療従事者の隔離期間を短縮した。両州が短縮に踏み切ったのは、米疾病対策センター(CDC)が昨年12月下旬、医療従事者向けの指針を変更したためだ。

人手不足の状況を3段階に分け、最も深刻な「危機」では、陽性でも無症状または軽症ならば適切なマスク着用の上で働けるとした。ワクチン接種の有無は問わない。CDCはこの後、一般の人が感染した場合などの指針も見直し、隔離期間を最短5日間とした。

「社会を円滑に回すために、皆さん、特にエッセンシャルワーカーは仕事に戻ってほしい」。バイデン米政権のファウチ首席医療顧問は改定に理解を求めた。

医療機関が独自の判断で隔離期間を短縮する動きも目立つ。地元メディアによると、南部アリゾナ州の大手医療機関は陽性となっても本人が勤務可能と判断すれば、上司の許可を得て職場に戻れるとした。中西部オハイオ州のある病院も陽性でも無症状または軽症なら勤務できるとした。

これらの動きには賛否両論が出ている。米国感染症学会は「オミクロン型の感染の波に対応するのに不可欠なアプローチ」と評価した。一方で全米看護師連合や各地の看護師組合は「公衆衛生上、適切ではない」として撤回を求めている。13日には全米各地で看護師が抗議活動に加わった。

病院の逼迫は広がる。米紙ニューヨーク・タイムズによると13日、24州で病床占有率が8割を超えた。集中治療室(ICU)の病床占有率が85%を超えたのは18州にのぼった。人口の多い南部テキサス州は92%だった。

米国の新規感染者数(7日移動平均)は80万人前後と高い水準が続く。オミクロン型のまん延で1カ月前に比べて約7倍になった。一方で、昨年秋から感染が拡大した東部では感染者数がピークに達した兆候もある。

東部ニューヨーク州の13日の新規感染者数(同)は1週間ぶりに6万人台となった。ただ、入院患者数は引き続き増えている。ホークル知事は「ウイルスとの闘いに警戒を怠ってはいけない」と強調した。

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