政府は、今国会に提出する経済安全保障推進法案に盛り込む「特許非公開制度」で、不適切な情報管理をした特許出願者への罰則を設ける方針を固めた。機微情報の流出防止に向け、実効性を高める狙い。官民による技術開発に参加する研究者の守秘義務違反にも罰則を科す方向だ。複数の政府関係者が明らかにした。

 特許非公開化は、先進国で導入が進むが、日本は出遅れている。法案では、特許庁と首相が特許出願された発明を審査し、安全保障上の機微情報があれば「保全対象発明」に指定。適正な情報管理や外国への出願禁止などの制限を課す。

 法案には、国が資金を投じる先端技術の研究開発にも、守秘義務を課す仕組みを盛り込む方針だ。国家公務員法を参考に、民間の研究者による守秘義務違反に対する罰則を詰める。エネルギーや情報通信などの基幹インフラ事業者が安全保障上の懸念のある設備を導入するにあたり、国の見直し命令に従わない場合の罰則も検討する。

 政府の有識者会議は19日、特許非公開制度などに関し「違反に罰則を定めるべきだ」「国家公務員と同等の守秘義務を求めるべきだ」などとした提言骨子をまとめている。政府は民間への過度の規制を避けるため、罰則の適否を慎重に検討してきたが、首相官邸関係者は「提言骨子を踏まえる。海外の民主国家の事例などを参考にする」と明言した。

 法案は、岸田文雄首相が重視する経済安保政策の中核に位置づけられ、「供給網」「基幹インフラ」「技術基盤(官民技術協力)」「特許非公開」の4分野を柱とする。2月下旬にも国会に提出する予定だ。【川口峻】

毎日新聞 2022/1/22 04:30(最終更新 1/22 04:30) 660文字
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