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【バイセンハウス時事】一時は20カ国・地域(G20)に押され不要論も出た先進7カ国(G7)の枠組みの復権が、ロシアのウクライナ侵攻で鮮明となってきた。ウクライナ支援や対ロ制裁調整のため、異例の頻度で会合を開催。意思疎通がしやすい先進民主主義国の集まりとして、ロシアや中国に対抗する役割が際立っている。日本の参加も「欧米諸国のクラブ」との批判を退ける重要な意義がある。

ウクライナのクレバ外相は13日、独北部バイセンハウスでのG7外相会議で「G7は再び強くなった。それを可能にしたのはウクライナだ」と強調。強権国家に対抗する努力が、G7の結束を強めたと語った。G7は9日には、香港行政長官の選出プロセスをめぐり「普通選挙から遠ざかった」と中国を批判する声明も発表している。
 2000年代後半の世界的金融危機では、先進国経済が失速する一方、中ロなど新興国が加盟するG20の存在感が増した。また、トランプ前米政権時代には、19年の仏ビアリッツでのG7首脳会議で意見の隔たりにより包括的な声明採択を断念するなど、機能不全に陥った時期もあった。
 しかし今年は、G7はオンラインや電話を含め外相会議を7度、首脳会議を3度開催。新型コロナウイルスの影響でオンライン協議の態勢が整ったこともあり、頻度は例年に比べ突出している。
 米、カナダ、欧州4カ国と日本で構成するG7では、日本はアジア唯一のメンバー。このため、ウクライナ危機のアジアへの波及やインド太平洋など、アジアの視点からの議論を主導している。