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滋賀県立大(彦根市)は20日、琵琶湖で実習調査船に乗船していた環境科学部の女子学生が昨年12月、観測機器の回収中、左手の2本の指先が挫滅する重傷を負う事故があったと発表した。学生は2週間入院し、現在も通院中という。

 大学によると、学生は昨年12月20日、実習調査船「はっさか2」に乗船した8人のうちの1人。事故は彦根市の多景島沖の湖底に沈んだ観測機器をいかりとロープを使って巻き上げる作業中に起きた。学生は作業を手伝い、ロープを両手で握っていたところ、電動の巻き取り装置に左手の小指と薬指を挟まれたという。運航ルールでは、学生にはいかりの巻き上げ操作を禁じていた。

 事故当日は警察の事情聴取や現場検証があり、今年1月には国土交通省運輸安全委員会、2月には神戸地方海難審判所の調査を受けた。公表が5か月後になった理由について、宮川正和副理事長は「学生がショックを受けており、心のケアを最優先にした。再発防止策がまとまった時期に公表をと考えた」と釈明した。

 事故原因として▽今回の乗船前、学生への安全教育は未実施▽船内作業の危険性を十分周知していなかった――などを挙げ、運航ルールを見直し、乗船対象の学生に安全教育を行ったという。「はっさか2」は23日から実習運航を再開する。