円安にさせるほど企業の輸出は有利となり
貿易収支の黒字も増えるはずだと思い込んでいる者はいるが
しかし実際には過去の日本を見ると
名目の円相場が200円台より円安だった時期には、日本の貿易収支の黒字はむしろ相当少ない期間が続いていた。
そして名目の円相場が150円付近より円高の時期のほうが、日本の貿易収支の黒字は多い傾向であった。
これらのことから、昔の日本は
円安のおかげで多く売れて貿易収支の黒字が増えていたというよりも
日本製品の国際競争力が上がったことで多く売れて貿易収支の黒字が増えていたといえる。

昔の日本とは違い
日本企業は国際競争力の衰退が長年続いているからその弊害があり
財政出動政策や金融緩和政策をしても効果が出ていないし
円安にさせても貿易収支の黒字や経常収支の黒字は増えることなく、近年はむしろ減少傾向になっている。

わざと自国通貨安の円安にさせようとすると、実質実効為替レートも円安が進む。
実質実効為替レートが円安になるほど実質賃金にもマイナスの悪影響が出る。
日本企業の国際競争力の衰退が長年続いていることが重なっているから
円の価値が下がることでは豊かにならず
かえって日本の大衆の実質賃金は二十年以上も下がり続けており
生活が苦しくなるし消費も増えない原因になっている。

超長期貿易収支推移 1950−2005年
出所:財務省貿易統計
http://3rdworldman.jugem.jp/?eid=46&imageviewer&image=20070223_290058.JPG

ドル円過去40年分長期チャート
https://livedoor.blogimg.jp/kawase_oh/imgs/2/8/28562d5a.gif