さらなる消費税増税を目論む自民党政権
6月22日(水)、参院選は公示日を迎え、7月10日(日)の投開票へ向けての選挙戦が始まりました。しかし、今回の参院選は、熱く燃えているのは選挙に出馬する側の政党や候補者や各陣営、そして一部の熱烈な支持者たちだけで、多くの有権者の間には「しらけムード」が漂っているように感じます。前回3年前の参院選の投票率は48.80%と、50%を下回って過去2番目の低さとなりましたが、今回はさらに投票率が下がり、過去最低を更新するのでは?との声も出始めています。

国政選挙の投票率低下の原因は、主に「政治不信」と言われて来ましたが、投票年齢が18歳に引き下げられたことも踏まえると、若い世代の「政治離れ」も一因だと思います。しかし、今回の参院選の場合は「一枚岩で支持率の安定した与党」と「バラバラで支持率が低迷し続ける野党」という構図により、最初からぼんやりと結果が見えていることが「しらけムード」の原因だと思います。

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そして、日銀が金融緩和をやめられない理由については、アベノミクスの失敗を隠蔽するために続けて来た「金融緩和と株価操作による好景気の演出」が限界を迎え、もはや舵を切れない状況にまで陥ってしまったからですが、これまた周知の事実です。しかし、自民党政権は、そんなことはお構いなし。今回の参院選を「現状維持」か「議席微減」で何とか乗り切り、3年後まで国政選挙のない「黄金の3年」を手に入れたら、最初の1年目に強行することが2つ決まっているからです。

それは、憲法改正のための発議と、消費税の大幅増税です。前者はともかく、後者に関しては、そろそろ限界が近づいて来た財政の自転車操業を少しでも先延ばしさせるため、なるべく早い時期に消費税を大幅に引き上げて新たな利権システムを作り、また身内だけで税金をグルグル回す魂胆なのです。

今回、自民党の高市早苗政調会長は「安全保障」を最大の争点と位置づけ、現在約5兆円の防衛予算を2倍の10兆円にまで引き上げると鼻息を荒くしています。しかし、野党は当然として、日本維新の会や国民民主党などの「ゆ党」までもが「物価高騰対策」を重要な争点として掲げ、消費税やガソリン税の引き下げを主張しているのです。ま、維新と国民民主の場合は、消費税の引き下げと同時に「原発の再稼働を進めて電気料金を引き下げる」などと言っているので論外ですが。

市民団体「公正な税制を求める市民連絡会」が事前に実施した各党へのアンケート調査で、「消費税は全世代型社会保障制度を支える重要な財源であることから、その税率を引き下げることは考えておりません」などと回答しているのは自民党だけです。自民党と連立を組む公明党ですら、支持者の顔色をうかがって「無回答」、他の野党はすべて引き下げか廃止を主張しています。

いつもは身内のような日本維新の会や国民民主党までもが「消費税減税」を主張しているのに、どうして自民党だけはアレコレと嘘まで並べて、頑なに「消費税率を引き下げることは考えておりません」と言い続けているのでしょうか?答えは簡単です。それは、選挙が終わったら1年以内に消費税を大幅に増税する計画だからです。仮に減税するのであれば、最低でも1年という期間を決めて、現在の10%を5%に引き下げることになります。そうなると、物価高騰の対策として減税している時に、まさか増税などとは言い出せなくなってしまうからです。

現在の消費税の税収は約20兆円ですから、取りあえず1年間だけ半額の5%に引き下げるのであれば、支出は10兆円で済みます。一方、頑として消費税の引き下げに応じようとしない自民党の岸田文雄総裁は、現在の物価高騰に対して「13兆円規模の強力な対策を行なう」と述べています。消費税を減税するよりも多くの予算を投じてまで、消費税の減税だけは何が何でも阻止しようとしているのです。

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https://www.mag2.com/p/news/543096