大阪府富田林市の自宅に2歳の女児を置き去りにしたとして祖母と内縁の夫が保護責任者遺棄容疑などで逮捕された事件で、祖母の四男(16)が女児が熱中症で死亡するまでの2日間について、「(祖母から)『水だけやればいい』と指示された」と大阪府警に説明していることが捜査関係者への取材で判明した。四男は女児と自宅に残され、女児に水を飲ませたのはわずか1度だけだった。

 祖母の小野真由美(46)と内縁の夫の桃田貴徳(50)の両容疑者は6月27日夜から29日夕にかけて、同居していた小野優陽(ゆうは)ちゃんを四方に板を張り付けたベビーサークル(幅124センチ、奥行き91センチ、高さ88センチ)に閉じ込め、五男(6)とともに計3人で外出。優陽ちゃんは手足を粘着テープで縛られた状態だったとされ、29日昼ごろに脱水症状を起こして亡くなった。

 府警の捜査で、真由美容疑者らは27、28日に「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ、大阪市此花区)近くのホテルに宿泊していたことが分かっている。USJで2日連続で遊び、一度も帰宅していない。

 捜査関係者によると、真由美容疑者らは27日、優陽ちゃんにコロッケを食べさせ、午後8時ごろにホテルに向けて車で外出した。四男の説明では、真由美容疑者から翌日、優陽ちゃんに水だけ飲ませるよう指示するメッセージがSNS(ネット交流サービス)で送られてきた。29日朝には真由美容疑者に対し、「暑いけれど(優陽は)大丈夫か」とSNSで確認したが、返信はなかったという。

 富田林市消防本部によると、市内の最高気温はこの間、いずれも30度を超える真夏日だった。

 四男は29日夕方に学校から帰宅した際、優陽ちゃんの異変に気付いた。真由美容疑者は四男から連絡を受けた際、「熱中症かもしれない。水をかけて」と話し、優陽ちゃんの手足を縛っていたテープを切るよう指示していたことも判明している。府警は一連のやり取りから、真由美容疑者らが優陽ちゃんを放置すれば熱中症になる危険性を認識していたとみている。

 一方、真由美容疑者と桃田容疑者は逮捕された当初、優陽ちゃんが死亡した29日の早朝に外出したと虚偽の供述をしていた。桃田容疑者は理由について、「長期間外出したとなると罪が重くなると考えた」と説明していることも明らかになった。【郡悠介、洪玟香】

毎日新聞 2022/8/10 18:00(最終更新 8/10 18:52)
https://mainichi.jp/articles/20220810/k00/00m/040/304000c