テロ対策は棚上げに

安倍晋三元首相の銃撃死亡事件に対してメディアは何を発信すべきか。本来はこうであろう。①いかなる理由があろうともテロは断じて容認しないという世論喚起②二度と起こさせないための警備体制の見直し③いとも簡単に凶器(銃)を製作できる社会環境や「ローンウルフ」(単独犯)対策―。要はテロ対策だ。

銃撃事件の翌7月9日以降に在京6紙(読売、産経、朝日、毎日、日経、東京)が掲載した同事件の関連社説は38本に上った。このうち①は同9日付で6紙すべてが論じたが、その後は8月5日付で産経が「テロ事件の肯定を許すな」としたのみ、他紙には全くない。②の警備は東京を除く5紙が1回、扱っただけ(9~13日付)。③は6紙いずれもテーマに据えていない。驚いたことに新聞はテロ対策を棚上げにしているのだ。

では、何を論じているのか。一つは安倍元首相の国葬だ。これは12本。このうち異を唱えるのは7本。むろん反安倍の朝日、毎日、東京の左派紙。支持は保守の産経、読売で5本。安倍氏をめぐる左右対決が没後も続いている。

もう一つは世界平和統一家庭連合(以下、教団)問題。これが最も多く13本に上る。とりわけ朝日は7本のうち4本扱い、8月には3日、9日、11日付と、いわば連続社説を張った。毎日も同様に9本のうち4本、東京は7本のうち3本で、いずれも反教団・反安倍キャンペーンを思わせた。読売、産経はいずれも1回のみ、日経は扱っていない。

実に歴史に刻まれたテロ事件は僅(わず)か1カ月を経て、左派紙によって教団問題にすり替えられてしまった。世界が哀悼の意を表している中で、異様と言わざるを得まい。

(略)

全文はソースで
https://www.worldtimes.co.jp/opinipn/mediawatch/20220816-164233/