フジテレビ解説委員 鈴木款

2022年11月18日 金曜 午後4:23

性教育に関して国連のユネスコは、身体や生殖のみでなく、ジェンダー平等や性の多様性など、人権尊重をベースに幅広いテーマを扱う「包括的性教育」を提唱している。しかし日本ではいまだ性教育にこうした視点がほとんど見られない。包括的性教育に取り組む現場を2回にわたって紹介する。





幼稚園で年長さんに「命の教育」を行う

「皆は産まれる準備をしていました。どこで?」
「ママのお腹の中!」
「そのころ自分の大きさってどのぐらいだと思う?砂の一粒より小さかったんだよ」
「えーーーー」
「でも皆5歳、6歳になるとこんなに大きくなるね。これが命の力です」
東京都八王子市にある八王子学園なかよし幼稚園で、年長の子どもたちに「命の教育」を行うのは大葉ナナコさんだ。大葉さんはこうした取り組みを18年間全国で行ってきた。対象の子どもは幼稚園から高校生まで。また保護者や教職員にも「命の教育」の大切さを伝えている。いまこうした「命の教育」を行う講師は、全国で150人に上るという。






性行為は扱わずに性犯罪予防教育を行う困難

性教育は幼児にはまだ早いのではないか?こうした疑問に対して大葉さんはこう語る。
「小学校3、4年生になるとポルノデビューするといわれています。今回は年長さんが対象でしたが、この子たちもあと4年もたつとスマホやネットで性情報に触れ始めます。そうすると暴力的な性情報がスタンダードになってしまうかもしれません。ですからその前に命につながる性、誕生から伝えることが大切なのです」
しかし学習指導要領には「はどめ規定」があり、学校教育の中で「性行為」は取り扱わないことになっている。これについて大葉さんはこう語る。
「学校では性行為について教えられませんが、性犯罪や性被害の予防に向けた教育は行わなければならない。ですから学校の先生たちは本当に困っているんです。ユネスコ(=国連教育科学文化機関)では、適切な時期に適切な性教育を受けることは、子どもの人権であると言っています」






「性被害が最も多いのは小学校1年生です」
https://www.fnn.jp/articles/-/446906?display=full