※2023/03/14 06:50
読売新聞

 いったん閉じかけた再審の重い扉が再び開かれた。57年前に起きた「袴田事件」で、東京高裁は13日、死刑が確定した袴田巌・元被告(87)について、再審開始を認める決定を出した。袴田元被告は犯人ではない可能性があるとし、捜査機関による証拠の「 捏造ねつぞう 」の可能性にまで言及。支援者からは歓喜の声が上がる一方、捜査当局には衝撃が走った。

「いい結果出た」

 「再審開始」。13日午後2時3分、東京・霞が関の裁判所庁舎から飛び出してきた弁護士2人がそう書かれた幕を掲げると、支援者らから、「よっしゃー」と大きな歓声が上がった。午前中からの雨は、決定を祝福するかのようにやんだばかりだった。

 その約10分後、袴田元被告の姉・ひで子さん(90)が裁判所から出てきた。目を潤ませながら、「この日を57年間待っておりました。ありがとうございます」とあいさつすると、大きな拍手がわき起こった。

 午後4時から、近くの弁護士会館で行われた記者会見には、100人超の報道陣が詰めかけた。ひで子さんは、袴田元被告自身は「裁判は終わった」と思っていることを明かし、「うちへ帰ったら、『いい結果が出たから安心しな』とだけを言うつもり。巌が早く死刑囚でなくなることを願っている」と笑顔で話した。

 2014年に静岡地裁が再審開始を認める決定を出したものの、東京高裁が18年に取り消すなど、司法判断が変転する異例の経過をたどっている事件。弁護団事務局長の小川秀世弁護士は会見で「検察が最高裁に特別抗告をすることになれば権限の乱用だ。速やかに再審開始を決定し、巌さんに『無罪』の声を聞かせてあげたい」と強調した。

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