毎日新聞 2023/3/17 17:37(最終更新 3/17 18:41)
https://mainichi.jp/articles/20230317/k00/00m/010/194000c

秋田県仙北市議会は17日、市が提案していた80歳の敬老祝い金や、消防団員が退職する際に家族に支払ってきた慰労金を廃止する条例制定案を反対多数で否決した。
財政難に悩む市はこうした予算を少子化対策に充当したいと理解を求めたが、高齢者層を中心に反発は根強く、議会側が退けた。

市によると、敬老祝金条例は高齢者を敬い、福祉の増進に寄与することを目的に毎年9月に満80歳に5000円、満100歳に10万円を支給するとしている。
消防団員退職時家族慰労金支給条例は、退職時の役職に応じて慰労金を支給するもので、支給額は1世帯あたり数万円程度という。

急速な少子化に危機感を強める市は、こうした規定の一部を事実上廃止する新たな条例制定案を市議会に提案。

80歳への支給を廃止する案に対し、市議からは
「戦時の大変な時代の日本を支え、生き抜いてきた年配の方々が、祝い金をもらうのを楽しみにしている」
「『老後の唯一の楽しみも削ってしまうのか』との落胆の声もある」
など反発の意見が噴出。
採決では半数以上が反対に回った。

田口知明市長は否決後、取材に対し「財政事情に余裕があれば続けたいが、高齢化率は4割を超え、少子化対策は早急に手を打たなくてはならない」と説明し、「今後の対応を改めて検討したい」と話した。