2004年高病原性鳥インフルエンザ国内流行地で採集されたクロバエ類からのH5N1亜型インフルエンザウイルスの検出と分離 国立感染症研究所

我々は、大分県九重町と京都府丹波町で冬季に活動するハエ類の採集を行い、それら採集個体からH5N1亜型インフルエンザウイルスの検出と分離を試みた。

ハエ類の採集は、鳥インフルエンザ発生の国内2例目となった大分県九重町で2004年2月24日・25日に、次いで、3例目となった京都府丹波町で同年3月9日~12日に、発生養鶏場から600~2,250mに位置する6地点で、いずれも魚肉ベイト(鰯)を用いて行った。

時間当たりのハエ密度は養鶏場からの距離に反比例する傾向にあり、明らかにその養鶏場がハエ類の主要な生息場所になっていたことを示唆している。

RT-PCRによりウイルス遺伝子の検出を行った結果、

京都府丹波町A地点で採集されたオオクロバエ、ケブカクロバエの各2プール(20個体/1プール)のすべてからH5亜型インフルエンザAウイルスのマトリックスタンパク(M)およびヘマグルチニン(HA)遺伝子断片が検出された。

一方、大分県九重町で採集されたオオクロバエ、丹波町A地点のオオイエバエおよびモモグロオオイエバエからはいずれの遺伝子も検出されなかった。

得られたすべてのPCR 産物に対して遺伝子解析を行い、本ウイルスが高病原性株であることを確認した。