【ニューヨーク時事】米中堅銀行シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻では、トップが破綻前に自社株を売り、約230万ドル(約3億円)の利益を得ていたことが発覚し、批判の声が上がっている。バイデン米大統領は17日、銀行が破綻した場合、経営陣から報酬や自社株売却益を没収するなど、当局による責任追及の権限を強化するよう議会に求めた。

 バイデン氏は「破綻を招いた経営陣には、より厳しい罰を科すよう議会は行動するべきだ」と訴えた。
 米メディアは、米司法省などが経緯を調べていると報じた。米政権によると、現行法ではSVBのような中小金融機関の破綻時は、報酬などを返還させることはできないという。
 規制当局への提出書類によると、SVBの親会社SVBファイナンシャル・グループのベッカー最高経営責任者(CEO)はSVBが破綻する11日前の2月27日、ストックオプション(自社株購入権)を行使。その日のうちに全株を売却していた。ベック最高財務責任者も保有分の3分の1を約58万ドルで売った。いずれも1月下旬に策定した計画に基づいて実行したと説明している。
 米証券取引委員会(SEC)は昨年12月、経営陣の自社株売却に関し、売買計画策定から90日以内は取引を禁止する規制強化策を決定。ベッカーCEOらが株を売却した今年2月27日は、新規制の発効日に当たる。米メディアによると、発効前に策定した売買計画に基づく取引は適用されないといい、利益を返還させることは困難とみられる。

時事通信 2023年03月19日06時59分
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